一子も志貴もその気配には気付いてなかった。そのことで完全に二人の世界に浸かっていたと気付き、顔を見合わせて頬を赤らめた。

「お、お前……いつから?」

 一子が狼狽えながら目の前の朱鷺恵を指さすと、朱鷺恵は少しだけ考え込んで頬に指を当てると

「んー、ちょうど二人が結ばれた頃かな?」

 あっさりと罪の意識もなく告白した。そのままその指で二人を指さし、くるくる回して意地悪そうににやっと笑うと

「ふふっ。可愛い男の子とお姉さんの快感に満たされて幸せそうな抱擁、耽美だったわよ〜」

 からかい加減に二人を見やった。その言葉に志貴は俯き顔をぽりぽりと掻く程度に恥ずかしがったが、一子は一気に顔を真っ赤に染め、慌てるようにシーツを頭からかぶっていた。

「たたた、耽美だなんて、お前……」
「あら? そう言う知識を教えてくれたのは一子ちゃんじゃない?」

 僅かばかり顔を覗かせながら、一子が志貴にとっては信じられない反応を示す。思わず、ぽかんと口を開けたままその真っ白なシーツに包まれた一子を見やる。それはそれで美しい姿だな、とか思っていると

「あ、あれはそう言うお話で……って、有間、恥ずかしいから見ないでくれ」

 たまらないと言った表情で、一子がすっぽりと頭まで隠れてしまった。そんな一子を見て、ふふっと笑う声に志貴が朱鷺恵の方を振り向くと

「うーん、でも、やっぱり惜しいなぁ」

 と、志貴の方を妖しく見つめながらついとベッドの上に身体を乗せてきた。そのまま、志貴の方へと猫が歩くようにして膝歩きする。
 志貴はその姿に、黒猫のような無邪気さと意地悪さを見たような気がしてぞくりとした。今までに感じた事のない、朱鷺恵の女性としての目。初めてを捧げあったあの時とは違う妖艶な瞳に、動きを封じられていた。

「ほら……こんな美味しそうな男の子が目の前にいて、やっぱりお姉さんだったら最後まで襲っちゃえばいいのに……最後は受け身なんだもん」
「と、朱鷺恵さん、なに……を?」
「だから……私が見本を見せてあげる。男の子を犯すお姉さんを」

 じりじりとにじり寄られ、志貴は朱鷺恵に覆い被さられていた。見上げるそこにはいつもの優しい朱鷺恵ではなく、先程の言葉通りの朱鷺恵がいた。
 つつっとその細い指先で顎先をなぞられ、志貴はそのくすぐったいような感触に悶える。

「はうっ! 朱鷺恵……さん」
「うふふ……可愛い。食べちゃいたいくらい」

 朱鷺恵までもが志貴の幼い姿に酔ったような表情で、志貴の顔に手を触れさせる。そして、そのままゆっくりと志貴の視界を覆うと、志貴の柔らかい唇を包むように口づけた。

「んんっ……!」

 志貴は抵抗できなかった。顔を動かそうとしたのに、朱鷺恵の手は思いのほか強い力で志貴の頭を抑えていたのだった。志貴は朱鷺恵のされるままに唇を奪われていた。
 唇を優しく噛むように啄まれ、舌で表面を舐められる。ふやけてしまうようなその舌の動きと、朱鷺恵の女らしい香りが、志貴の抵抗を少しずつ奪っていく。
 頃合いを見計らって、朱鷺恵の舌が志貴の中に入ってきた。既に半開きにされた唇をなぞり、その奥にある潤いに舌が侵入する。そこで、志貴の舌に触れるか触れないかで、朱鷺恵の舌が妖しく蠢きだす。

「む……ふっ……!」

 信じられない程甘い口づけに、志貴が声を上げた。しかしそれを朱鷺恵に絡め取られ、より深く朱鷺恵の舌が志貴を蹂躙していく。

 くちゅ、くちゅり……

 粘性のある音が口の中から湧き出すようにして志貴を襲う。次第に抗うつもりだった力も失せ、やがてされるままに朱鷺恵の唇に委ねていく。
 と、急に朱鷺恵の動きがしおらしくなる。志貴は一瞬不思議に思ったが、今度は自分が朱鷺恵にしてあげたいと思い、その熱いであろう口内を味わおうと舌を自分の領外へ差しのばそうとした。
 しかし、朱鷺恵はそれを見越していたかのようににこりと笑うとすっと顔を引き、唇を離してしまった。

「えっ……?」

 驚いたように志貴が見上げると、そこには銀の糸を繋げ、舌をいやらしく見せている朱鷺恵がいた。その瞳の奥には唇を離してしまった物寂しさではなく、先程よりも強まった妖艶な色が映っていた。

「だめよ……」

 暗く影になった朱鷺恵の表情が一層妖しく見える。その口調までもがいつもと違い、その冷たい声にどきりとさせられた。

「志貴君の自由にはさせてあげない。これは強姦なんだから、ふふっ……」

 朱鷺恵はそう言うと、今度は視線を横に向けた。そこには先程からこの一部始終を見ている一子がいた。しかし、一子は朱鷺恵の突然の豹変に言葉を失い、ぎゅっとシーツを握りしめながらじっと見入っているだけだった。そうして視線を向けられ初めて我に返ったように焦点を朱鷺恵に合わせると、一子はぼうっとした頭でつぶやいた。

「と、朱鷺恵……お前」

 私をからかってるのか。
 何か言いたいのに続きが浮かばない、そんな感じで軽い混乱を起こしている一子に対して、朱鷺恵はいつもの笑顔に戻った。

「あら一子ちゃん、私は本気よ」

 そうして、志貴を見下ろしながらその頬をゆっくりとなぞり、うっとりとした表情になる。

「こんな可愛い子を合法的に犯せるなんて、普通無いじゃない? だから、徹底的にいじめてあげるの……」

 その言葉に二人が震えた。
 志貴と、一子。
 朱鷺恵の言葉には全く遊びが感じられなかった。あんな普通の顔をしていたのに本気だなんて、まったく想像も出来なかったからだ。

「朱鷺恵……」

 自分とは違う、と思っていた一子はこの時、朱鷺恵が自分と一緒どころか、それ以上にヤバいと恐怖を実感させられた。

「朱鷺恵……さん」

 そんな事はない、と思っていた志貴は、本気にしか見えない朱鷺恵の言動に動揺を隠せなかった。幼い頃から一緒にいたのに、狙われていたのかと。

 その真意を掴めぬまま、朱鷺恵は次の行動に移っていた。

「さぁ、志貴君……ここがぷっくりしてるね……」

 すっと、朱鷺恵の左手が動いた。と

「うあぁっ!」

 志貴が快感に声を上げた。
 朱鷺恵の人差し指の腹で晒されていた乳首をそっと撫でられ、全身から鳥肌がたちそうな快感に震え上がっていた。

「ふふっ……そう、良い声……」

 そのままくりくりと弄び、更に反対の乳首にゆっくりと顔を滑らせていった。

「ほら……もっと気持ちよくしてあげる」

 と、熱い吐息を吐きながら志貴の乳首に口づけた。

「くぁっ……! と、朱鷺恵さん……」

 志貴が何かを止めようとするも、声が最後まで続かない。ペロペロと舌先で乳首を甘くねぶられ、その異常な感覚に喘いでいた。

「ふふっ、男の子でもこんなに感じるって、知ってた? まるで女の子みたい……」

 美味しそうに志貴の肌を味わい、朱鷺恵が立ち上がった志貴の乳首を舐め続ける。片方だけでなく反対も、舌先でその間をぬめぬめと這わせながら道を作り、交互に乳首を責め続けた。

「あ……あっ……だめ……」

 志貴の意志とは無関係に、声が漏れた。それは自分でも本当の拒絶なのか分からない、そんな反射的な言葉だった。
 それを逆手に取るように、朱鷺恵が少し不思議そうに志貴を見下ろす。

「だめ……? ここはそう言ってないのに?」

 少しだけ問い詰めるように朱鷺恵が志貴に語りかけ、同時に手が動いていた。志貴の上半身を抜け、その手は未だ何もつけてなかった志貴の下腹部に添えられていた。

「あ!」

 志貴は瞬間、腰が砕ける程の甘い衝撃に襲われて飛びそうになった。朱鷺恵が優しく志貴のペニスをさすり、先端に指を這わせていたからだ。先程からの刺激で、一度放ったにもかかわらず志貴のペニスはまたも熱く滾っていた。それにとっくに気付いていた朱鷺恵は、そんな志貴の可愛いペニスをゆっくりと手で包むと、上下に動かし始めた。

「ほら……まだ皮も被って大人じゃないんだ……可愛い」

 皮を使いながら刺激を与える朱鷺恵に、志貴は完全にされるままになっていた。

「あっ、ああっ!」

 緩急のついたそのむずがゆい刺激に、声を上げてしまう。まだ一子との跡を拭っていなかった為、てらてらとまとわりついている一子の愛液と血液と志貴の精液が混ざった粘液が、余計潤滑を良くして志貴を追いつめてゆく。

「ふふっ……お姉さんが身も心も大人にしてあげる……」

 ひとしきり擦った後、朱鷺恵は志貴のペニスがより大きくなったのを確認して、目の前に志貴のペニスが来るように身を動かした。
 あの頃より少しだけ小さく先端しか亀頭が出ていないが、その先端から先走りの白い液を滲ませ、確かに男性器としての役割を見せている志貴のペニスを見つめると、朱鷺恵の身体も疼いた。

「これが一子ちゃんの中に入って、精液をいっぱい出したんだね」

と、朱鷺恵は少しだけくにくにと先端を弄った後に

「苦しそう……だから、私が大人にしてあげる」

 と、きゅっとその皮を掴むと、先端をむき出しにかかる。

「あっ、ああああっ!」

 痛みが伴ったか、志貴が快感ともつかぬ声を上げ、のたうった。

「ふふっ、ぜーんぶ出たね、志貴君のおちんちん……」

 嬉しそうにしかし意地悪く、朱鷺恵が志貴の全てをさらけ出して笑った。そして熱くはち切れそうなそのペニスの先端にちゅっと口づけると、そのまま口の中に飲み込んでいった。

「ふ、ああぁ!」

 瞬間、志貴が大きな声を上げ、脚を強ばらせてガクガクと震えていた。
 ぷちゅぷちゅと音を立てて、志貴のペニスは朱鷺恵の口によって弄ばれている。口の中で擦り付けるように密着させ、同時に先端からカリの部分に舌を這わせ、そこに残る志貴の残滓の濃いものを舐め取る。
 熱くて熱くて気持ちよすぎる感覚に、志貴がたまらず首を反らした。

「だめっ、朱鷺恵さん、出ちゃう!」

 そう叫ぶと同時に、朱鷺恵が奥まで志貴のペニスをくわえ込み、喉に届くとばかり先端を吸い上げたときだった。

「あ、あああっ!」

 ビクン、ビクン!
 脈打つ腰の動きと共に、志貴が達した。
 びゅくびゅくと放出される精液は、先程とも変わらぬ濃さで朱鷺恵の口腔を満たしていく。

「ん……」

 一瞬その想像以上の迸りに目を開いた朱鷺恵だったが、すぐに愛おしそうにそれを享受し、吐き出される精液を受け止めていた。
 その間も志貴は腰を突き出しながら跳ね上がるような快感に精液を打ち出し、朱鷺恵に精を吸い取られる様な感覚に酔っていた。

「あ、ああ……」

 腰が融けるかと思った快感がようやく収まって、志貴のペニスがほんの少しだけ萎縮した。
 朱鷺恵はそんな志貴のペニスから口を離すと、顔を起こした。
 瞬間、二人に目配せをするようにして、注目を自分に向けさせる。

「?」
「あ……」

 一子は分からないように見つめたが、志貴は流石に意図が分かったらしい。

 コクリ

 朱鷺恵はいつものように笑うと、口に溜めていた志貴の精液を、ふたりに見せつけながら嚥下していた。喉を通る粘っこい味と感覚に恍惚の表情を浮かべながら

「ふふっ、いっぱい出たね。濃くて、ちょっと青くて、男の子の味……おいしい……」

 そう言って朱鷺恵は志貴と一子を交互に見る。が、志貴は少しだけ遠い二人だけの記憶と普段の朱鷺恵からは信じられぬ光景に言葉を失っていた。
 そんな志貴に代わって反応するように、ゴクリと一子が唾を飲み込んだ。
 さっき自分の中に出されたそれを、躊躇無く朱鷺恵が飲み込んだ事に僅かながらショックを覚えた。そして朱鷺恵の行動が、さっき自分の股間から滴るそれを拭ったとき僅かながら覚えた欲望とリンクし、思い出させていた。

 舐めてみたい。
 志貴の精液はどんな味がするのか。
 私を愛してくれた証はどんな舌触りがするのか。

 一子はそれを自分への恥ずかしさと志貴の行動に遮られて結局実行できずにいたのに、あっさりと目の前の朱鷺恵はやってのけた。朱鷺恵の痴女とも思える姿に、恐怖と畏怖と……その中に僅かに尊敬と興奮とを潜ませながら、一子は自らの身体がもう一度火照っていくのを感じていた。

「ふふっ、女の子の口の中にこんなにいっぱい出しちゃうなんて、悪い子ね。そんないけない子には、お、し、お、き」

 志貴の先端をつつくようにして、少しいじめるように語りながら朱鷺恵が体を起こすと、朱鷺恵は志貴の前で膝立ちになり、着衣したままの姿でスカートの裾から両手を中に差し入れる。
 そうして腰の脇に当てられたその手をすっと動かすと、導かれるようにショーツが朱鷺恵の股を伝って下りていた。
 片膝を上げ脚を抜き、もう片方も同じようにすると、朱鷺恵は抜き取ったショーツのクロッチ部を志貴に見せつけた。
 そこにはじっとりと言うよりもびしょびしょと言うのが正しいと思われる程に朱鷺恵の愛液が染みついていた。

「あ……」
「ほら、私も志貴君の弄ってこんなになっちゃった……責任取って」

 目の前でそんな痴情を見せられて、志貴の意識は停止したままだった。むしろ余計に回復が遅れる程、朱鷺恵の姿は扇情的で欲情的で……志貴の想像の範疇外だった。
 あの朱鷺恵さんが、朱鷺恵さんが……
 自分に可憐に処女を捧げてくれたあの時とは明らかに違う目つきが怖かった。これが女なのか、と思ってしまう程の変わり様。
 しかし、身体は素直に欲求に従っていた。現に朱鷺恵の口戯に屈し、精液を放出していたのだから。
 分からない、わからない、ワカラナイ。
 自分が、朱鷺恵さんが。

 そんな志貴の混乱に乗じるかのように、朱鷺恵は体を起こしていた志貴をもう一度押し倒し、ゆっくりとまた志貴に馬乗りになるようにまたがった。そうして、二人に見せつけるかのようにスカートをめくり上げると、そこには愛液にぬれた陰毛がべったりと張り付いた朱鷺恵のピンク色の淫唇があった。
 見られた事でより興奮を覚えたか、とろりと滴る雫が真下の志貴のペニスを濡らす。

「ね……上のお口だけじゃなくて、今度は下のお口にも頂戴……」

 言って、朱鷺恵の指はもう一度志貴を刺激する。敏感だったそれは、愛液の潤滑剤で擦られ、たちまち元の大きさを取り戻していた。

「く、ふぅ……ん」

 大きさと位置を確認すると、朱鷺恵は躊躇もなく腰を落とし、志貴の幼いペニスを自分の中に収めていった。
 流石に気持ちがよいのか、一瞬言葉が詰まる朱鷺恵だったが、すぐに先程と同じ妖艶な表情に戻ると

「ほおら、私の中、気持ちいいでしょう……?」

 と、ゆっくりと動き出した。密着させたまましかし、柔らかく腰をくねらせて快感を得る。

「あ、ああっ……!」

 その絶妙な腰使いに、たちまち志貴がたまらない声を上げた。一子の時の様にきつい締め付けでぎゅうぎゅうとしてくるだけではなく、締め付けてくるのだが緩急のある技巧、そして円を描くような朱鷺恵の動きに合わせて亀頭から陰茎の様々な部位が擦れて襲う気持ちよさ。まさに女性として男を知り尽くしたかのようなその動きに、志貴は翻弄されていた。目の前に映る二人の繋がっている光景は、グロテスクなはずなのに淫靡で、興奮をより助長させる。
 朱鷺恵が少しだけ腰を引くと、花びらがめくれあがっていやらしい液が沢山志貴のペニスにまとわりつく。そうしてまた腰を下ろして志貴を奥まで飲み込む。ぷちゅっと粘っこい水音と共に、志貴のペニスが朱鷺恵の膣に消える。そうしてまた腰は浮き、あらわになってはまた消えていく。それは志貴だけでなく朱鷺恵も、それを端で見ている一子をもおかしな気持ちにさせていた。

「すごい……志貴君、小さいのにこんなに……っ」

 一瞬言葉を詰まらせ、朱鷺恵が波に呑まれまいとしている。
 そんな事は志貴には分からず、ただ自分も飛んでしまいそうになるのをこらえるばかりだった。

 や……こんな……

 そして、一子も声も出さずその痴情を見つめ、出入りする男と女から目が離せないでいた。くちゅくちゅ、ぷちゅぷちゅという音だけで脳が痺れそうになるのに、更に愛液と腺液にぬらぬらと光る性器の擦れ合う光景は、おおよそ想像していた美しい交わりとはいろんな意味で違っていた。
 あまりに興奮する光景に身体を強ばらせ、じっと見つめるしか出来ない。ただ繰り返される営みに、心が完全に奪われていた。

「あっ、ああっ! ああああ! と、朱鷺恵さんっ! も、もうっ……!」

 そんな動きに変化が見られたのは、志貴の弱々しい叫び声からだった。

「んっ……志貴君、もう出ちゃうの?」

 と、朱鷺恵が薄目を開けながら、志貴の姿を確認する。
 志貴は歯を喰いしばり、耐えようとする必死の表情で目を瞑っていた。
 と、やおら朱鷺恵は自ら服の上から自分の胸をもみしだき始める。

「いいよ、いっちゃって……私も一緒にいってあげるから……んっ!」

 志貴のペニスと自らの愛撫に息を詰まらせながら、朱鷺恵は高みを目指していた。より一層大きく腰が動き、快感を高める動きが一層激しくなる。

「出して良いよ……わたしの中に、いっぱい出して……ああ、ああっ……!」

 その声を聞いたのか、志貴の腰がガクガクと震えだした。終わりが近い事を悟り、朱鷺恵もさらに自分を追いつめ、服の上から乳首を抓る程に愛撫した。

「あぅ、あああああ!」

 そしてその瞬間、志貴が融けるような声を出した。
 びく、びゅくっ……
 腰を打ち付け、一番奥まで朱鷺恵が志貴を飲み込んだ瞬間、激しく身を震わせて志貴が絶頂を迎えていた。

「あ、あああ……」
「ああ……」

 二人の声が混ざり合って聞こえる。朱鷺恵もその迸りを受けて身を震わせ、膣をきゅうっと締め付けて達した。
 打ち付けられる精液。締め付ける膣襞。
 快感を混ぜ合い、二人が一緒になって融けていった。

「志、貴君……可愛い……」

 朱鷺恵は自分の最奥で放たれる精液を感じながら、目の前の志貴にたまらない愛しさを感じていた。より一層締め付けて志貴を搾り取るかのように、その膣は熱い収縮を繰り返し、先程同様一滴も逃すまいといっぱいに志貴の腰に擦り付けられていた。

「あ、ああああああ……」

 吐息にも似た声で、志貴も意識が真っ白になりながら放出していた。さっきまでの事も忘れる程、濃く熱い精液が朱鷺恵の中に何度も放出され、やがて全てを出し終わる頃には体中の力が抜け落ちるようにしてベッドに沈み込んでいた。

「ん、んっ……いっぱい」

 朱鷺恵も最後の放出を受け、少しだけくたりとなりながらも何とか身体を起こしたままにして、志貴のお腹に手を置いたままじいっと全身を襲う波が収まるのを待っているかのようだった。