「志貴くん……」
「志貴……」
 やがて二人はお互いを綺麗にし終わると、俺を切なそうな顔で見た。
「もう……わたし……」
 さつきはもじもじと、太腿を摺り合わせて恥ずかしそうにしている。
「さ、つき……」
 まだこちらからは触れてなかったのに、少し乱れたスカートから覗くそこは、陽の光でキラキラと濡れていた。
「志貴くん……我慢できないよぉ……」
 そのお願いは俺を狂わす。けど、アルクェイドもきっと同じ様子でいるから、男としてはどうしたらいいのか一瞬困ってしまった。が、
「志貴、さっちんからしてあげて」
「アルクェイド?」
 そんな俺の心を見透かしたように、アルクェイドは俺の背中を押す。
「わたしは、さっちんの次に愛してくれればいいから……だって、そうでしょ?」
「……」
 その言葉は、ちくりと俺達の心を痛めた。
 結局俺にとって、アルクェイドはさつきの次になってしまう存在で、それを三人とも分かっているだけに、何とも言えない思い雰囲気になりかけてしまった。
「ごめんな、アルクェイド……」
 だが、俺は精一杯アルクェイドに笑ってあげる。これだけが今俺にできることだった。
「ううん。でも、あとでいっぱい愛してね? さ〜って、さっちん」
「きゃっ!」
 それで雰囲気が和んだアルクェイドは、にぱっと笑ってさつきを横たえさせ、その脚からショーツを抜き去ってしまった。
「わぁ……わたしより濡れてる」
 アルクェイドが見せつけるようにさつきの脚を割り開くと、とろとろにとろけた蜜がさつきの中心から零れてシーツを濡らした。
「志貴の匂い、すごいえっちだったもんね? わたしもショーツいっぱい濡れちゃって、気持ち悪いくらいだよ」
「やぁ……」
 俺に全てを晒してしまったさつきが真っ赤になって視線を逸らすと、アルクェイドはその様子にご満悦の様子で、
「うふふ、さっちんかわいい〜。志貴〜、羨ましすぎだぞ〜」
 俺を見て、この幸せ者め! といった表情を向けた。
 その視線を感じはしたが、俺はそれ以上にさつきの中心に瞳を奪われていた。
 何度も愛し合ったけど、いつ見ても凄い綺麗でいやらしいさつきの大事なところ。
 身体は自然に緊張して、下半身のモノはすっかり先程の大きさを取り戻していた。

「じゃあ……見せて。さっちんと志貴が、えっちしてるの」
「……」
「あ、ああ」
 アルクェイドのお願いに、さつきは黙って、そして俺は僅かに声を発しながら頷いた。
 しかし、こうやって改めてするというのは、物凄く恥ずかしくて緊張して何となくぎこちなくなりそうだった。
 けど、そんなじゃだめだと自分を鼓舞して、ぐっとさつきの脚をいっぱいに広げると、そこへ身体を滑り込ませた。
「いくよ……」
「うんっ……来て、志貴くん」
 健気に、俺を受け入れようとしているさつきが今は何よりも愛しかった。
 アルクェイドは俺の後ろで背中にしがみつくようにして、そんな様子を見つめていた。
 その視線を感じながら、俺はどうしようもなく大きくなったそれを、さつきの中心へあてがった。
 亀頭に生暖かい感触が触れ、それから僅かに力を込めると、ず、ずっと俺のモノは奥へと飲み込まれていった。
「凄い……さっちんのそこが、あんなに広がって……」
「ああっ、あああ……はあ、っ……志貴くん……」
 さつきの切ない声に、一気に奥まで埋めてしまいたい衝動を必死で抑えながら、意識的に少しずつさつきを貫くようにしてやると、後ろで見ていたアルクェイドがぎゅっと俺の肩を掴む力を強め、興奮しているのが分かった。
「わぁ……」
 その溜息混じりの言葉は、初めて見た他人のセックスへの感想として、あまりに的確で全てを伝えるのに十分だった。

「……入ったの?」
「ああ……」
 そして遂にさつきの奥まで亀頭が届いたところで、アルクェイドが恐る恐るというように尋ねてきたから、俺は気を抜かないように気をつけながら答えてやった。
「うん。志貴くんが、わたしの奥まで届いてるよ……」
 さつきはにっこりと気持ちよさそうに笑いながら、俺のすぐ横にあるアルクェイドの顔を見つめていた。
「凄いね……志貴のあんなにおっきいのがさっちんの中にも、わたしの中にもこうやって全部入っちゃうんだ……」
 今までそれがそうなっていたと、頭では分かっていたのかもしれないが、実際その様子を見せられて、アルクェイドは感心したような、そして女性の身体を誇りに思っているようだった。
「志貴くん……動いていいよ」
 さつきはそう言いながらも、動いて欲しいという欲望をその表情に垣間見せていた。腰も僅かだけど自ら動いていて、
「お願い……」
 その恥ずかしさにさつきが自ら熱い吐息を吐き出していた。
「ああ」
 中で締め付けられるだけで達してしまいそうだった俺は、そのお願いに素直に従って動き始めた。
「ああ……ふあっ……志貴くぅん……っ」
 最初のゆっくりとした律動だけで、さつきは可愛い喘ぎ声を発し始める。いつもながらその声は美しい音色、俺の弱い音色だ。脊髄を電流が走り抜けて、大きくぶるっと震えてしまう。

「志貴、すごいよ……あんなにさっちんのがめくれて、いやらしいよ……うわぁ……」
 アルクェイドは俺の後ろで、その淫靡な光景に視線を離せないでいるようだった。はあっ、と耳元にかかる熱い溜息は、さつきの中の気持ちよさと相まって更に俺を射精に駆り立てる。更に、
「ふあ……志貴くん、奥に、当たってるよ……んっ、んんっ!」
 唇を噛んで、こみ上げてくる快感を必死に堪えようとしているさつきの姿まで、俺をおかしくさせる。
 ヤバイ、な……いつもより……
 このままじゃ俺が勝手に果ててしまう、そう感じた俺は小休止を入れようと腰の動きを緩めた。すると、
「あっ……ダメだよ志貴。もっと動いてあげないと、さっちんがかわいそう」
 後ろから、アルクェイドが俺の身体を揺らしてきた。
「ま、待てアルクェイド……」
「どうして? ほら、こんなにえっちなのに? じゃあ、わたしが動いてあげるから。えい、えいっ!」
 アルクェイドは自分をさつきに重ねての親切のつもりなのだろう、もっと気持ちよくなって貰いたいと俺の背中に自分の身体を押しつけて、さっき俺がしていたリズムでさつきの中を半ば無理矢理出入りさせてきた。
「ほら、志貴も怠けちゃダメだよ? っしょっ。さっちん、気持ちいい?」
「う、んっ……」
「ば、バカ……ち、ちがう……っ! くっ、うあっ!」
 先程からの刺激、そして背中に当たるアルクェイドの二つの膨らみ、そして射精してすぐだった感じやすい俺自身。
 全ての要因が混ざり合って、暴発してしまった。
 びしゃっ、びゅくっと、優しく締め付けるさつきの胎内に意志とは半分無関係に射精してしまう。
「あ……? 志貴くんのが、中で出てる……」
「え、え?」
 さつきは予期せぬ射精に少々、そしてアルクェイドは突然の俺の反応に大きく、共に驚いていた。

「ああ……」
 そして俺は射精の波がゆっくり引いていくと、なんだか罪悪感を感じてしまった。さつきはちっとも気持ちよくなれなかっただろうなあ、そんな気持ち。
 それが全部自分が悪い訳じゃないから、責任を転嫁したい、そんな思いも少しあったりする。だけど……こいつを責めるわけにはいかなかった。
「ご、ごめんなさい……そんなつもりじゃなかったのに……」
 アルクェイドはシュンとなって反省した様子だ。流石に自分のやった罪の大きさを感じてしまっているのだろう。
「しょうがないよ……だって、分からなかったんだよね?」
「う、うん……」
 さつきは既に起きあがっていて、アルクェイドの横で今にもぐずりそうな勢いのアルクェイドの事を心配そうに見つめていた。
「じゃあ、今度は失敗しなきゃいいんだよ」
「え?」
 本当は、中途半端にされてしまって一番切ない筈のさつきにそう元気づけられて、アルクェイドは驚いた様子だった。
「ね?」
「う、うん……ありがとう」
 半ば押し切られるようにして、さつきの笑顔で納得させられてしまったらしい。
 その辺は、さすがさつきだなって思った。
「それじゃあ、今度はアルクェイドさんの番だよ?」
「え? わたし?」
 と、その流れで言われたアルクェイドは、また驚いたようにしてさつきを見た。
「だめだよ……さっきさっちん、一番気持ちよくなってなかったから、今度も……」
 アルクェイドは譲ろうとするが、それをさつきは首を振って遮った。
「ダメ。わたしの次はアルクェイドさんって、さっき約束したよね?」
「……」
 さつきは、時々こうやってどうしようもない優しさを見せる。
 それはずっと昔からそうで、いつも損ばっかりしているように思えたけど……
「ありがとう……」
 こうやって、誰かを幸せに出来る優しさだから、さつきの強さなんだって思った。