でも、正直あの日のさつきはとても可愛くて、興奮して……なによりいやらしかった。 「あ、志貴くん、そっち終わった?」 秋葉の部屋の近く、その場所でさつきが窓を拭いていた。 「ああ、一通りは。これからちょっと休んで、また指示待ちと言ったところ」 俺はそう言いながら、窓ふきをしてるさつきの後ろに立った。 「そうなんだ。じゃぁ、私もこれだけしたらお水取り替えるから、一緒に行こう?」 振り返らず手を休めないまま、さつきは頑張って窓を拭いているようだった。 「う〜ん」 頑張ってるさつきを見てると、なんか微笑ましい。 「さつき」 俺は後ろから、さつきを抱きしめていた。 「さつき……」 さつきが僅かに抵抗し、身体をよじるたび、その腕が、背中が、腰が、お尻が俺に沢山触れてきて、かえって興奮を高めている。そんな事も知らずに、さつきは少しおかしくなった俺から離れようとしていた。 「さつき……」 抵抗が少なくなるのを感じ取った瞬間、さつきをくっとこちらに向けさせて、キスをした。驚くさつきに構わず最初から舌を滑り込ませて、彼女の口内の暖かさを直接感じながら、唾液を吸い取る。 「ん……んんん……っ」 最初はされるままだったさつきから、次第に固さが消え、甘い響きを含む声に換わっていった。エプロンの上からだと感触が乏しいから、俺は手をエプロンの下に滑らせ、ボタンを器用に外しながら服の中にまで忍び込ませた。 「ああっ……」 その瞬間、ぴくっと反応してさつきが唇を離す。唾液の雫を垂らしながら、甘い目でこちらを見上げてきていて、それだけで強く興奮を覚えてしまう。 「だめ、志貴くん……こんなところで……」 場所という羞恥心はまだ強いのだろう、さつきが拒否の言葉を述べる。 「さつき……ご主人様のお願いが聞けない?」 俺は四日前に交わした約束を忘れてなかった。 「あっ……」 その言葉は、思った以上にさつきに効いたようだ。 「はい……ご主人様の好きなようにしてください……」 可愛らしく、しかしいやらしく唾液で濡れたさつきの唇から紡がれた服従の言葉が、ぐさりと胸に突き刺さった気がした。 「ああ……」 自分で導かせて言わせておきながら、自分が飛んだ。 「んんっ……」 可愛く喘ぐ声。それはこの広い廊下では微々たる音だったが、腕の中に抱いている俺にとっては、たまらない響きとなっている。 「んっ!」 さわさわと甘く撫でると、口の中でさつきが声を跳ね上げさせて可愛く反応した。 「窓に手を付いて……」 命令しながら、身体を正面に向けさせ、さつきは素直に従った。 「やっ……!」 幾分変態じみた行動に、さつきが驚きを覚える中、俺はスカートの裾を両手で掴むと、何も言わず一気にまくり上げた。 「きゃっ!」 俺は手を上に上げたまま、さつきの脚に見とれた。 「やぁ……恥ずかしい……」 こちらを見下ろし、顔を紅潮させているさつきを見てしまったら……理性が、ぶっ飛んだ。 「さつき……濡れてる。それに、どうしてこんなに俺を誘うような格好なんだ?」 声色の変化に驚いたか、さつきは一瞬返事が遅れた。が 「だって志貴くんが……あ……あの日から、ずっと触ってくれなかったから……ふうっ!」 中心を弄られ、瞳を閉じながらさつきは告白する 「んっ……ガーター……志貴くんを……誘惑したくてこの格好……ふああっ! ……選んだんだよ……嬉しい……ああっ!」 それが言い終わらない内に、確かに俺は誘惑されて、さつきの脚を割り開いて中心に舌を這わせていた。 「さつき、落ちないように持ってるんだ」 俺はスカートの裾を掲げると、さつきの手に握らせる。 「んんっ……」 俺は指を中程にまで差し入れ、さつきが十分に潤ってると確認すると、すっと立ち上がった。 「はぁ……っ?」 さつきがすうっと引けていく快感に俺の方を見る。薄く涙が流れて、唇もぽーっと半開きになって、明らかに俺を誘っていた。 「さつき、一気に行くからな」 俺はさつきの花芯から愛液をすくい取り自分の先端に塗り込めると、そのままぐっとさつきの腰を掴んで腰を高く掲げさせると、ずぶりと勢い良くさつきの中に挿入した。 「ああっ……んあああっ!」 裾を掴んだまま、さつきはぎゅうっと俺を受け入れて震えた。 「ああっ……だめ、だよ、志貴くん……だれか、来ちゃう……んんっ」 さつきがまだ羞恥を捨てきれない様子だった。 「やあっ……んっ、はぁっ! あ、あっ……」 腰が前後するたび、熱いまとわりが俺を擦り付け、物凄く気持ちよかった。 「何言ってるんだ、さつき。こんなに濡らして、こんなに締め付けてるのに……」 押しつけるようにして深くまで差し込むと、突き上げるようにしてさつきを蹂躙する。 「ち、違う……んっ、はあっ……んっ……ダメ、本当に……ああっ、琥珀さんが……」 さつきは窓枠にしがみつきながら、必死に声を抑えている様子だった。誰かが通りかかったら……という恐怖が、さつきの反応に見える。 「そうさ、見て貰えばいい……俺達の関係を、教えてあげるんだ」 酷く暴力的な言葉も、興奮した俺には媚薬にしかならない。 「あっ、あっ……ああっ……!?」 そして瞬間、さつきの身体が硬直し、中が急激に締め付けてきた。 「ん……?」 俺がさつきの視線の先を追うと、近いとも遠いとも取れぬ微妙な距離……本当にそんな位置に、メイド服を着た姿を見つけた。 「翡翠……」 翡翠は、凍り付いたように立ち止まって、俺達のセックスを見つめていた。 そんな翡翠に見られていると思うだけで……俺は興奮した。 「あっ、やぁっ……だめ……志貴くん……抜いてぇ……んんっ」 さつきは困惑したように酷く怯えながら俺を拒んだが、そのくせ繋がった中心は今まで以上に強く俺を締め付け、離さなかった。 俺はさつきの言葉など無視して、いやむしろ反発するように腰を一段と深くまで沈み込ませる。 「何を言ってるんだ、さつき……丁度いい機会じゃないか、俺達がただ恋愛ごっこしてるだけじゃないって、翡翠に教えてあげるんだ」 首をふるふると左右に振りながら、さつきは否定の言葉を浮かべるが 「う、そ、つきっ!」 俺の容赦ない一撃に啼くと、一段と強く俺を締め付けた。 「どうしました……? あらあら……」 そこから姿を現したのは、琥珀さんだった。 「はは、琥珀さんも、っか……望み通りだな」 さつきが琥珀さんを認めると、矢張り先程同様、拒絶の声を上げる。 琥珀さんがその気なら、余計容赦しない。 「ほら見て琥珀さんも……さつきは、淫乱なメイドとしてしっかり奉仕しているよ……」 そう言うと、琥珀さんは分かりましたとばかりに微笑んで頷く。 「どうしたのこは……く……」 ふと当たり前のように、最後の住人が自分の部屋の中から顔を覗かせた。 「秋葉、か……」 秋葉は、兄の行っている痴態に絶句し……悔しげな表情を浮かべていた。 「やあっ……秋葉ちゃん、見ない、見ないで……あはぁっ!」 さつきの声が、少しだけ大きくなった。 遠野家の人間全てに見られている。 それは、ものすごく興奮して、訳が分からないくらいに熱い。 「さつき……もっと声出して良いんだよ……みんな見てるから、気にしなくて良いんだから……」 そう耳元で甘く呼びかけ、そのまま体重をかけながらさつきの中をみっちりと満たす。 「あ……はぁっ……んんっ……」 さつきは、その言葉に最初は何の反応も示さなかったが 「ご主人様がそう言ってるんだ、もっと声、聞かせて……」 『ご主人様』と言う言葉は、全てにおいて強力すぎる言葉だった。 「ん……ん……はあっ! ああっ、ご主人様!」 不意に、さつきが大きな喘ぎ声を上げた。 「あ、あ、ああっ! もっと、もっと……」 やっと聞けた。満足するまで聞けた。 「さつき、かわいいよ……」 さつきの声はもう消え入るような可愛さではなく、好きなように声を上げる、淫靡で、いやらしく、妖艶すぎるものだった。 「んんっ! はあっ! ご主人様、ご主人さまぁ……」 その言葉はさつきにとっても強烈な媚薬か。言葉を叫ぶたび、さつきは激しく震え、絶頂を迎えつつあった。 「さつき、出すぞ……みんな、見てるからな」 その言葉と共に、さつきがぎゅうっと瞳を閉じ 「あ、あ、ああ……ああああああっ!!」 足をぎゅうっと硬直させて、達していた。 「くうっ!」 合わせるように、俺は我慢の限界を何度も超えそうになっていた欲望を吐き出す。 びゅく、びゅくううっ 溜まりに溜まっていた全ての精液を、さつきの胎内に流し込んで、果てた。 「あ、あああ……熱い……びゅくびゅくって……」 みんなの見ている前で、これほどの快感。 全てを出し終えた後。 「は……ああああ……」 さつきが、がくりと膝を崩してそこへ座り込む。 「はぁ……」 俺は強烈な満足感に心から笑うと、周りを見渡した。 「ははは……」 この笑いは、おかしみか、発狂か。 「さつき……」 罪悪感は少しあるけれど、今はもっとそれを超越した愛しさ。 「ごめんな……大好きだったから……声、聞きたかったから……」 すうっと後頭部に手を回してくれてキスに応じてくれるさつきの頬に、また一筋の涙が浮かんでいて胸を締め付けられる。
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