一度たがが外れてしまうとなんとやらと言うか、結果的に遠野家公認となった俺達は、昼夜を問わずいちゃいちゃしだした。
 所々で顔を合わせてはキス。
 食事はさつきのご奉仕で新婚夫婦も真っ青。
 お風呂も一緒に入って、洗いっこしながら、そのまま……という日課。
 夜の方ももちろんで、さつきのご奉仕もさることながら、ある夜には俺がさつきの寝込みを襲うように申し合わせて、一種の主従プレイを楽しむ始末。

 翡翠はそんな俺達に何も言わなかったけど、あれで結構怒ってるのかもしれない。ほぼ毎朝起こしに来ると、二人で絡み合って寝ているか、もぬけの空なのだから気に障るだろう。
 琥珀さんは笑って楽しそうに見ていた。この状況を琥珀さん自ら演出し、思惑通りに俺達が事を進めた事への笑み。
 そう、途中から琥珀さんに踊らされてると分かったけど、俺は敢えて踊らされてみた。
 まぁ、結果的に関係が更に良くなったんだから、感謝しなければならないと思う。
 そして、最大のお怒りと言えば……

「ああー!! もう我慢できません! 弓塚さん、貴方は解雇! 解雇です!!」

 怒髪天を衝く、とはまさにこれの事。
 予定していた雇用終了期間の二日前、あまりに耐えかねた秋葉が遂にキレ、朝の団らんでぴったりとくっついていた俺達を睨み付けると、遂に言い放っていた。

「あら〜。秋葉様、嫉妬などという私情で労働者を解雇するのは、雇用者として失格ですよ?」
「黙りなさい! 私が解雇と言ったら解雇なんです!!」

 あまりの事にきょとんとしている俺達を後目に、なだめる琥珀さんをはね除け、秋葉は早々と解雇を決定してしまっていた。

「……ということで弓塚さん、すみませんが秋葉様のお怒りに触れちゃったので、ここは……」
「は〜い……残念だなぁ、もっと志貴くんと一緒にいられると思ったのに」

 さつきがちょっと残念そうに呟くと、秋葉がギロリと俺達の方を睨んでいた。
 視線だけで人を殺せるとはこれの事だろう。さつきはさらっと流していたようだが、俺は心臓を素手で捕まれたような気分になった。
 女の子って、強いな。
 改めてそんな事を思いながら、さつきはメイド服から私服への着替えと、荷物を取りに自分の部屋に戻っていた。

「琥珀さん、翡翠さん、短い間だったけどありがとう」
「いえいえ、こちらこそお手伝いいただいて」
「はい。こちらの方が感謝します」

 すっかりうち解けあった三人は、秋葉を無視してちょっとしたお別れの会話を繰り返し……

「では弓塚さん、これ、少ないですけれど……」

 そう言って、さっき金庫に向かっていた琥珀さんが、茶封筒をさつきに手渡していた。

「うん……ありがとう。楽しかったのにお金まで貰っちゃって……」
「いえいえ、ご契約ですから当然です。また夏休みにも来てくださいな」

 その言葉に、隅っこにいた秋葉が鋭い視線を投げかけるが、二人とも気にも留めていないようだ。
 さつきはそれを受け取るとぴょこぴょこと俺の横に座り、にぱっとひまわりのような笑顔で笑った。

「ありがとう、ご・主・人・様」

 チュッ

 そう言われると、突然頬にキスされて、俺はお子様にも顔を赤らめてしまった。

「弓塚さん、学校で志貴さんの事『ご主人様』なんて言わないで下さいね〜」
「えへへっ、どうだろう〜。ね? ご主人様?」
「え……あ、ああ……」

 琥珀さんにからかわれ、関係ない俺の方が正直自身がなくなっていた。

「えへへ……ちょっと、中見ちゃお〜」

 そうしてさつきが、ふと手にしていた封筒の中を覗いた時、

「……えっ?」

 さつきの世界だけ、時が止まっていた。

「ん?」

 俺は何があったんだろうと思い、横からのぞき見してみると……

「こ、これ……」

 正確な量は分からないが、そこには大量の諭吉様が鎮座ましましていた。
 おそらくその量、所帯持ちのお父さんにも匹敵する……

「こ、琥珀さん……?」
「はい? あ、志貴さんにもまだでしたね。弓塚さんが解雇されましたし、後は私達だけで出来る量ですから、ついでに志貴さんも人事部の私から解雇しちゃいますね〜」

 琥珀さんは俺の質問に答えず、始めから用意していただろう、もう一つの封筒を俺に手渡した。

「少し色も付けておきましたけど、遠野家のお給料はこんなもんなんですよ〜」

 手渡す時、小声で琥珀さんがそう言ったが、開けてみると……さつきよりは少ないけれど、やっぱり初任給にも値する金額が入っていた。

「はい、これで契約は完了ですね。あとはご自由になさって下さい〜」

 そう言われて、俺達は顔を見合わせてしまった。

「ご自由に……って」
「どうしよう……」

 こんな大金が貰えるとは正直思っていなかったから、喫茶店でブラブラお茶しようだとか、映画に行こうだとかいう当初の予想はあっさり崩壊していた。
 これだけありすぎると、貯めておくのもなんだかおかしいと思うのは、流石高校生の金銭感覚か。
 俺は頭の中が真っ白になりながら、それでも必死に考えを巡らせ……

「そうだ」

 ひとつ、思いついた。
 俺はすっと立ち上がると

「さつきはちょっと待ってて。すぐ戻るから」
「う、うん……」

 まだぽかんとしているさつきを居間に残し、俺は部屋に帰って、いつものバッグに適当に着替えと洗面用具を詰め込んで戻ってきた。

「お待たせ」
「お待たせ……って、志貴くん、それは?」

 何故かバッグを背負った俺にハテナマークいっぱいのさつき、そんな可愛い姿の彼女の手を、俺は笑って引いた。

「うん。お金も入ったし、折角さつきが荷物あるんだから、このまま旅行でも行こう?」
「えっ!?」

 驚いていたのは、さつきと翡翠と、秋葉だった。
 さつきと翡翠は純粋に驚き、秋葉は俺の破天荒な、自身の目論みぶちこわしの提案に驚いているようだった。
 俺はさつきのバッグも持ってあげると、ちょっとだけわくわくしてくる。

「もう四月だしさ、予約なんていらないと思うし、足を伸ばして京都なんてどう? きっと桜も満開だと思うよ?」

 俺がね、と同意を求めると、琥珀さんもそうですねーと頷いてくれた。
 そうして、どう? と無言のままさつきの瞳を見つめ続けていると……

「……うんっ!」

 そう言って俺の手を握り返してくれるさつきの笑顔は可愛くて、おもわずぎゅーっと抱きしめたくなった。

「じゃ、そう言う事で。留守の間はよろしく、琥珀さん」
「はいはい〜。おみやげお待ちしてますよ〜」

 俺は翡翠にも笑いかけると、翡翠もにっこりと笑いながら「行ってらっしゃいませ」と礼してくれる。

「さ、そうと決まったら早速行こう。今日は金閣寺から夜桜見物かな〜?」

 なんて、大して知らない京都の町を想像しつつ、俺達は部屋を出ていった。

「に……兄さんの、馬鹿ぁ〜!!」

 最後に秋葉の怒号が聞こえたが、そんなものは俺達には聞こえない。
 しっかりと手を握り合うと

「ふふふ……まだしばらく一緒だね、志貴くん」
「ああ、旅行の間は手も離さないから、覚悟しておけよ、さつき」
「うん、好きなだけ連れて行って、志貴くん」

 肩を寄せ合いながら、やんわりと暖かくなってきた日差しを背に、屋敷を飛び出していた。

 

 

〜あとがき〜

 書いた時には、まさかさっちんがアニメでこんなに活躍してくれるとは思いもせず……(笑

 タイトルは、参加したイベントが「巫女メイドマニアックス2」、略して「MMM」だったからです。
 この原稿を必死で書いていたイベント前日、学校で所属するサークルの追い出しコンパがあって、そこに参加していたのですが……そこでサークルの前編集長(後輩)に、まだ原稿があがってない事をばらし、途中でも良いかな〜なんて弱腰発言をしたら……

「先輩、先輩の書きたい分はまだ終わってないんですよね?」
「うむぅ……」
「だったら、書かなきゃダメでしょ〜。先輩の話を読んでると、最後まで書かなきゃダメな感じがしますよ(笑いながら力説」
「そう? じゃ、書くしかないか……」
「がんばってくださいね〜(手を振られる」

 とまぁ、流石編集長だけあって、うまくおだてられた気分です。
 そんなこんなで頑張って書いたのですが、結果的にはそれが正解だったような気がしました。多分中途であげていたら、自分的に後悔したでしょう。

 中身は、かなり前から書きたいと思っていた、さっちんによるメイド本です。
個人的妄想のさっちんシナリオ後、何気なくも幸せな一コマ……と言った感じで書いています。

 ……で、さっちんはメイド服が似合うと思います。その欲望を、もうだらだらと綴ってみました。後は、ひかえめなさっちんが、えっちの時に、はしたないと思っていて喘ぎ声をこらえてる姿もうまく組み込んで……自分でもたまらないです
 と言う事で、「萌エロ」路線をうち立て、良い作品が書けたと思います。

 さっちんはいいよね。うん、なんていうかみんな目を背けすぎです。こんなに可愛い娘がいるのに、それで18禁SSを書かないなんて勿体ない。ということでみんな、目を覚ましてくれたかな?(笑








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