昨日あっての、今日。
 朝食の後のお茶を飲みながら、そろそろ時間かな、と思う。
 さつきがさっき来ていて、なんか小旅行程の荷物をバッグに詰めていたとか思い出す。琥珀さんに部屋に案内されていたし、すぐにここに戻ってくるだろう。

「なんか可笑しいなあ、さつきがウチで泊まり込みなんて……」

 ついにやけ顔になってしまい、向かいの秋葉の視線が痛いのだが気にしない。屋敷の異常な広さや、一時的だとか言う事はさておき、まさに同棲なんだから……

「お待たせいたしました〜」

 と、何故かドアを開けて入ってきたのは琥珀さんだけだった。

「あれ?」

 と、琥珀さんはドアの向こうにいるらしいさつきに笑いかけていた。

「ほら、志貴さんがお待ちですよ」
「え……だってこれ……」

 何やら言っているが、よく分からない。
 俺はそっちを身ながらお茶を一口啜ったところだった。

「さぁ、恥ずかしがらずに。え〜い」
「わわっ!」

 !?
 琥珀さんがさつきの後ろに回って勢いよく押したらしく、さつきがドアの影から飛び出してきた時、俺は思いっきりお茶でむせ返ってしまった。

「ゲホゲホ……って、さつき!?」
「うん……見ないでぇ……」

 さつきは翡翠と同じメイド服を着て、そのまましぼんで消えてしまいそうな程小さく立っていた。
 そのあまりに可愛らしい格好に、思わず胸が高鳴ってしまった。

「どうですか志貴さん、折角住み込みで働いてくださるので、使用人として制服なんか用意してみましたが」
「琥珀さん……」

 俺はそんな琥珀さんに、心の中で親指を立てて感謝していた。
 何て言うか、あまりに衝撃的な展開。頭の上にちょこんと乗っているヘッドピースがまたいい感じで、普段翡翠で見慣れていたはずだったのに、着る人が違うとこうも新鮮なのかと感じてしまった。
 まぁ、それがさつきだから、って言うのは大いにあると思うけど。

「似合う……かな、志貴くん?」
「うん、うん……」

 自分の服装を見回すようにして改めてさつきが問うてくると、俺は正直にコクコクと頷くしかなかった。

「ということで、さつきさんはしばらくの間遠野家の使用人ですから、志貴さんも遠慮無く使ってあげてくださいね。何せさつきさんのご主人様ですから」
「ご、ご主人様って……」

 そう言う風に言うと、まるで普段から琥珀さん達にご主人様ぶってると思われ……あれ?

「ご主人様……かぁ、ご主人様」

 さつきはごにょごにょと呟きながら、頭から湯気が立つかと思える程に紅潮していた。

「よろしくお願いします、ご主人様……」

 そう言ってぺこりと頭を下げられて、正直可愛くて抱きしめたくなる衝動に駆られた。男として至福の瞬間。しかし、みんなのいる手前(特に秋葉)何とかこらえて、

「あ、うん……」

 俺はドキドキを抑えながら返事するのが精一杯だった。

「さてさて、とりあえず弓塚さんには遠野家の使用人としてのお話がありますから、志貴さんは先に行ってて下さいな」

 琥珀さんに居間から追い出されるようにしてドアを閉じられると、俺は立ち聞きしたい衝動を抑えつつ、仕方なく自分の今日の持ち場に向かっていた。

「で、さつきはいつまでそれを着てるの?」
「うん、やっぱ途中で着替えるのも悪いから、パジャマに着替えるまではこのままでいるつもり」
「そっか……いや、別に深い意味はないけど」

 夕食。
 そんな会話をしながら、さつきは俺達と一緒の食卓を囲んでいた。
 始めは使用人だから、と同席を拒んでいたのだが、琥珀さんが「使用人であり、お客様なのですから」と説得して、メイド服の格好のままの同席と相成っていた。

「ごめんなさい、琥珀さん、翡翠ちゃん。私ばっかり……」
「いえいえ、元々は私のお願いだったのですから」
「はい、弓塚さんはお気になさらないでください」
「ありがとう……」

 そんな感じで、食卓に三人、秋葉は思いっきり不機嫌だけど、俺とさつきは琥珀さんや翡翠と談笑しながら楽しく食事した。

「ごちそうさまでした」
「はい、おそまつさまでした」

 そう言いながら食器を下げる琥珀さんに、さつきが立ち上がって

「あ、片づけくらいは……」

 と申し出たが、琥珀さんはやんわりとそれを断った。

「志貴さんのお話相手をしてくださるのも、使用人のおつとめと思ってくださいな」

 流石琥珀さん、断り方まで悦に入っているな。
 ということで、俺は紅茶を頂きながらさつきと他愛のない話をした。秋葉は一緒にいると気分を損ねるだけだと思ったのか、既に自分の部屋に戻っている。
 大体はさつきの興味がある屋敷の色々についてが主で、今まで色々整頓してきた古めかしい絵やら骨董品やら、どちらかと言えば俺が聞き手となっていた。
 テレビがないからか、静かにこうやってさつきと話をしているのは新鮮で、なんか地味に幸せを感じた。

「志貴さま、お風呂の用意が出来ました」

 と、さっきから席を外していた翡翠が戻ってきて、俺に告げた。

「ありがとう。ん〜、早速入ろうかな?」

 やっぱり一日作業をしているから、疲れが溜まる。さつきと一緒だと、格好付けたい男の性か、ついつい見栄を張っちゃって、ひとつ余計に荷物を持ったばっかりにバラバラと書類をこぼしたりと、結果は好転した試しはない。
 結局仕事を余計に増やして……と、まぁ自業自得と言えば身も蓋もない。

「はい、それでは……」

 といつものように翡翠が応対してくれようとした時

「あ……志貴くん」

 と、立ち上がろうとした俺の袖を掴んで、さつきがこちらを見上げてきた。

「ん?」

 俺は何だろうと思い、次の言葉を待っていたが

「あの……琥珀さんに言われたんだけど……お背中、お流しします……」
「な!?」

 その一言は、俺と翡翠を同時に驚愕させていた。

「え? だって琥珀さんが『使用人たるものご主人様のお背中を流さないでなにが使用人ですか!』って……翡翠ちゃんもやってるって……」

 その言葉に、俺と翡翠は共通の認識を抱いたに違いない。
 琥珀さん(姉さん)、また変な事を吹き込んで……

「そ、そんな事してないから! 俺はいつも一人で入ってるって!」

 何も慌てる必要はないのだが、ここはちゃんと否定しないと色々厄介事になりそうだったから。
 そう言って翡翠に同意を求めて視線を向けると、翡翠も顔を真っ赤にしながらコクコクと頷いていた。

「そうなんだ……」

 さつきが納得してくれて、良かった……と思っていたら、翡翠があまりの事に混乱して暴走しちゃったか

「でも……弓塚さんが望まれるのでしたら、ご一緒するのも宜しいかと……」

 とか言ってしまっていた。

「ひ、翡翠?」

 思わぬ翡翠の発言に、またこっちは慌ててしまう。出してみて気付いたけど、今の声裏返ってたし。

「あ……申し訳ありません!」

 翡翠はそれで顔を更に真っ赤にしてしまうと、慌てて部屋を出て行ってしまった。

「……」

 残されて俺達は会話がなかった。

 いや、ちょっと確かに憧れはするけど、翡翠には頼めないし……ご一緒すると言う事は……いや、そんな事したら色々ダメで……
 一瞬頭の中には、さつきの素肌と、湯気に曇るしどけない姿が浮かんだ。さつきの真っ白な素肌は何度も目にしているけど、そういう艶姿はまだ……と思うと、思わずゴクリとなってしまうが、俺はぐるぐると巡る邪な考えを、頭を振って何とか一掃した。
 ゴホンとわざとらしく、というかそうでもしないとどうにかなりそうだったので咳をして、俺は無言で立ち上がった。

「あの……さ、着替えだけ用意して欲しいかな。いつも翡翠にお願いしてたから、場所は翡翠に聞いてよ」
「う、うん……」

 そうして、俺達は何とかそれだけやりとりすると、ぎくしゃくしながらそれぞれ別れていた。
 ったく、琥珀さんの所為でこんな……と思いながら、一瞬だけ期待した自分のスケベ心に、何だか情けなくも恥ずかしい思いだった。

「ふ〜」

 ベッドに寝転がって、一日の疲れが染み出てくるようだ。
 結局入浴は何事もなく、さつきがドア越しに恥ずかしそうに「着替え、ここに置いておくね……」と現れただけだった。
 着替える時に気付いたけど、よく考えたら俺の下着とかいつも持たせちゃってるんだよな。翡翠は普段どう思ってるのかな、とか考えたら、なんか改めてもにょもにょとした気分になったり。

「はぁ……」

 ぼうっとして読書などしていたが、すぐに本をほっぽり出して天井を見る。
 さつきがウチのメイド、かぁ……
 改めて思うと、何だか不思議な感じがしてしょうがなかった。
 さつきの笑顔に、メイド服。正直ここまで似合っているとなんて思ってもみなかったから、きっと一日中俺はニヤケてただろうし、実は相当視姦してたんじゃないかと思ってしまう。
 ときおりチラリと覗くふくらはぎなんか、普段は見慣れてるはずなのに、隠されていると思うだけでなんだか興奮した。

 ……やば

 そんな事を考えてたら、ムスコが元気になってきた。
 そういえば、さつきが働きに来てから……何もしてないからなぁ。
 毎日、と言うわけではないけど、結構肌を重ね合わせていただけに、悲しいかな溜まっているのか。それと疲れ何とか、というヤツもあるのだろう。

「仕方ない……」

 何かに納得したらしく、俺はベッドの下にある有彦からの借り物に手を伸ばそうとした時だった。
 
 コンコン……
 控えめに、ドアがノックされた。

「……はい」

 俺は少しだけ慌てて居住まいを正すと、廊下に向かって返事をした。
 なんか聞き慣れないノックの仕方で、誰が来たか一瞬分からなかった。
 というか、聞き慣れないと言う時点で、今来る可能性があると言えば一人しかいないのだが……

「……失礼します」

 ドアをゆっくり開けて入ってきたのは、さつきだった。
 後ろ手にドアを閉めると、そこで立ち止まって中を見渡しているようだった。それから……何故か、俯いてしまっていた。

「……? どうした、さつき?」

 用事も何も言わず、普段と違って緊張したようなさつきに、俺はハテナマークを浮かべたまま声をかけた。
 さつきは、決心の付かないようになにか小声で呟いていた

「志貴くん……ううん、ご主人様……」

 こちらを見ると

「あの……夜のご奉仕に、伺いました……」

 と、信じられぬ事を言った。

「え? ええっ!?」

 俺は飛び上がらんばかりに驚くと、さつきがこちらにゆっくり歩み寄ってきた。

「あのね、琥珀さんが志貴くんが溜まってるだろうから、夜伽でご奉仕するのもメイドの重要な仕事だって……」

 そう言うと、ベッドの端に立ち止まる。

「ちょ、ちょっと!」

 俺は後ずさりすると、ベッドの背もたれに背中をぶつけた。
 また琥珀さん、変な事さつきに吹き込んで……

 しかし、真に受けてしまったのか、さつきは真剣な表情だった。

「ねえ、志貴くん……私じゃ、嫌?」

 そう言われると、回路がプチプチと焼き切れた。

「そうじゃないけど……そういう事は」
「……私も」
「え?」

 さつきが、俺の言い訳を遮るように言葉を発した。
 見ると何だかさっき以上に顔は真っ赤で、軽く俯いて表情が見えない。
 そこから意を決したように俺を見つめると、その唇から誘惑の言葉が漏れた。

「……私も、志貴くんに……して、貰えなくて……だから……」
「……」

 そう言われたら、反則だった。
 言葉を失ったまま、心臓がバクバクと凄いスピードで脈流していた。

「だから……お口だけで良いから……させて」

 と、さつきはベッドの上に遠慮がちに上がってくると、俺のズボンを下ろし、トランクスのボタンを外してしまった。

「ん……こんなになってる……」

 さっきからおさまりが効かなくなってたペニスは、既にかなりの大きさになっていて、さつきはそれを見つめると、何の迷いもなく舌を這わせていた。

「くっ……!」

 久しぶりの感覚に、俺は飛びそうな感覚で呻く。
 柔らかく暖かいさつきの口内に包まれて、俺はモノをいきり立たせてしまった。

「んっ! ……じゅ……ふっ……気持ちいい……ですか?」

 さつきは恥ずかしそうに上目遣いでこちらを見て、自分のはしたなさに恥じているようだった。それなのに舌の動きは決して止めず、むしろ情熱的に絡め、吸ってくれていた。

 じゅ……ちゅるる……じゅうっ……

 部屋に響く水音が、耳から俺の心を沸騰させていく。
 俺の腰に跪いて、メイド服を着たさつきがフェラチオをしてくれていると思うと、それだけで興奮している自分がいる。
 ヘッドピースの着いたツインテールのさつきの頭が悩ましげに上下すると、それに従って幹に伝わる熱も上下して、素晴らしい快感を呼び起こしてくれた。

「ん……先からもう出てる……ん……ふうっ……」

 先走りを舌ですくい取り、鈴口に愛撫を加えながら、同時に陰嚢を柔らかくさすられて、一気に背中がぞくっと来た。
 俺が快感に頭に手を置くと、一瞬俺の顔を見てイキそうなのを悟ったか、さつきがより激しく頭を前後させる。その強烈な愛撫は、今まで俺が教えた以上の技巧で、一瞬で昂められてしまった。

「さ、さつ……き……!」

 久しぶりの感覚に呻いて、俺は止める余裕もなく、精液をさつきの口内に迸らせてしまっていた。
 どくん、どくんっ……

「ん……ん、んくっ……」

 自分でも大量に出たと思えるそれを、さつきはこくりこくりと飲んでくれている。口内にペニスを含んだまま、びゅくびゅくと反応する突き上げに口をすぼませ、あふれ出す精液を嚥下した。

「ん……はぁ……」

 最後に鈴口を吸ってちゅっとすると、さつきはとろけた表情でペニスからこちらに視線を移し、にこっと笑った。

「いっぱい出ましたね、ご主人様……」

 淫蕩な表情。
 愛するさつきがこんな表情をして、心が沸騰しないわけがない。
 俺は簡単に狂わされて、さつきを押し倒していた。
 俺に組み敷かれて、驚きよりも期待の表情が強いさつきがほんの五センチ先にいる。身体から微かに臭う石けんの香りで、入浴はしてきたんだと理解した。

「さつき……」
「志貴くん……いいよ、私は志貴くん『だけ』のメイドだから、志貴くんの好きにして……ご主人様」

 もうだめだった。
 激しく口づけると、服の上から胸をわしづかみにしていた。

「あっ……ん……」

 痛いはずなのに抗いもせず、さつきは息を荒げていた。
 こんな時でも従おうと、そして声を出さないようにとしている姿が、なんか悔しかった。
 もっと、もっともっと、俺のオンナだったら啼いて欲しい。
 主人と呼ばれた事で少しおかしくなっていた思考が、俺を襲った。

「さつき……四つんばいになって、お尻を向けて……」
「え? ……う、うん……」

 さつきに命令すると、一瞬驚いた様子だったが、自分の立場を思い出したのだろう、素直に従ってくれた。
 こちらに向けられたお尻はスカートに隠れ、可愛く突き出されていた。
 そんなスカートをまくり上げると、さつきのシミ一つ無い腿と、ストライプで彩られたショーツが目に入ってきた。火花が出そうな感じで興奮し、指をそこへ近付ける。

「んっ!」

 触れた瞬間、いや触れる前からさつきのショーツの中心は濡れていて、俺が触れただけなのにビクッと身体を振るわせ、シミがまた一段と濃く、大きくなった。きっと俺のを銜えているうちに興奮してしまったのだろう。
 そのまま指を中に差し入れて弄ってあげると、吸い込まれるようにしてドロドロの蜜壺に指が吸い込まれていき、中は指に吸い付くように締まっていた。

「んっ……し、き、くん……」
 
 肩を震わせ、さつきが切ない小声をあげていた。

「さつき……さつきはえっちなメイドさんだなぁ……」

 最後に一度置くまで差し込んでから指を抜き去ると、二本の指には既にとろとろのさつきの愛液が絡みついて、部屋の明かりに光っていた。
 ぺろりと舐めると甘い味がして、それを見ていたさつきが震えた。

「んんっ……いやぁ……だって、志貴くんが」
「さつき、俺はご主人様だよ?」

 俺が言葉の途中で訂正してやると、ぼうっとしながらも気付いたらしく、さつきは一瞬言葉を飲み込んで

「……ご主人様がしてくださらなかったから、さつきは我慢できなかったのです……」

 もう変態プレイも良いところだ。しかし、めちゃめちゃに興奮して仕方がない。

「もっと言って」

 俺はクリトリスに触れるか触れないかで指を彷徨わせながら、言葉を求めた。

「……はい、さつきはご主人様の……おちんちんを銜えながら感じちゃう、いけないメイド……ひゃぁっ!」

 最後まで聞ける余裕さえ俺になかった。
 俺はショーツをずらすと、舌で直接さつきのクリトリスに触れた。そのまま位置をずらし、花弁の方まで唇を使って強く吸う。
 口内にさつきの愛液が溢れて、唇の周りもベトベトになる。でも構わず吸い続け、指の腹でクリトリスを押しつぶすように刺激する。

「ひゃ……あ、だめえ……ご、主人様ぁ……」

 腕に力が入らなくなったか、途中からがっくりと崩れ去り、肩で身体を支えてさつきがシーツをぎゅっと掴み、襲いかかる快感に喘いでいた。
 さつきの泉から、愛液が止めどなく洪水のように溢れてシーツを濡らす。ぴちゃぴちゃと舐め、時折じゅるると啜る音をわざと立てると、その度に愛液は濃さと量と白濁を増し、感じている事を分からせた。

「さつき、入れるよ……」

 もう我慢できない。
 俺は一度放出してもちっとも収まらない、むしろ余計元気になったペニスを擦り、さつきの腰にあてがった。
 すっかり腰くだけになって、へたり込むようになっていたさつきの腰を掴み、高く掲げさせる。

「あ……ご主人様。ご主人様の好きなだけ、突いてください……」

 身体にもう力が入らないか、言葉だけでも従順を誓うとばかりに、さつきがくの字に折れ曲がるような格好でこちらを見た。
 ショーツをずり下げ、さつきの中心をむき出しにすると、うっすらと開いたピンクの裂け目がとろとろと愛液をこぼしながら濡れ光り、俺を明らかに誘っていた。

「いくぞ……っ!」

 俺はそんな光景に飛ばされると、その中心に滾ったペニスをあてがい、一気に挿入した。

「あああっ!」

 さつきが感極まった声をあげる。
 それだけでいってしまったようで、入ったペニスがぎゅうっと締め付けられた。

「さつき……いつもより狭くて熱いよ……」

 俺はその内部の快感を味わいながら、腰を前後させた。
 一突きごとに、さつきの一番奥にペニスの先端が当たって、さつきが苦しげな声を上げた。

「んっ、んんっ! 志貴くんも、凄くおっきい……っ!」

 声が出てしまうからか、さつきは枕に顔を埋めてしまいぎゅっとその端を握っていた。

「あっ……あ、んふうっ……、ふうっ、あ、あ、あっ……」

 俺の動きに合わせてくぐもった声が聞こえる。それは俺がさつきのお尻にぶつける肉の音よりも小さく、微かに聞こえる程度。くちゅくちゅと鳴り響く結合部のそれよりも微かで、淫蕩な気分があった。
 自分の呼吸音をはっきりと感じ、俺はリズムを掴んでさつきを責めまくる。
 腰を痛い程がしっと掴み、ただひたすらにさつきを悦ばそうとした。

「ん! ダメ、ダメ……もうっ!」

 さつきが二度目の絶頂に向かって体を震わせた。
 俺もそれに合わせるかのように激しく突き入れ、斜め後ろからさつきの身体を串刺しにするようにして繋がり続けた。

「んっ、ん、んんっ〜〜〜〜〜!!」

 さつきが枕に必死に顔を押しつけ、絶頂の声を押し殺した瞬間、俺も弾けた。
 さつきの一番奥、子宮口にも届く場所でどくどくと熱く精液を迸らせて震えた。

「ん……んんんっ……あっ……熱い……ご主人様の精液が、中でいっぱい出てる……」

 どく、どくっと精液の固まりが出るたびに腰を打ち付け、そのたびにさつきがビクンと揺れ、声を出す。熱い迸りを後ろからさつきに打ち込みながら、一瞬真っ白になる。

「ん……はぁ……」

 最後の一滴まで全部さつきの中に放出すると、俺は掴んでた腰から手を離した。
 さつきは折れ曲がったまま肩で荒い息をして、強烈すぎただろう快感の余韻に意識を遠のかせているようだった。
 俺はさつきの脚を伸ばしてうつぶせにしてやると、自分も横に仰向けに寝転がりさつきの頭を撫でた。
 ぴくっと反応したさつきが薄目を開けてこちらを見ると、恥ずかしそうに、でも嬉しそうに微笑んだ。

「すごい、感じちゃった……自分も気持ちよくなっちゃうなんて、私……メイドさん失格、だね……」

 まだ少し呼吸は不規則で、ぼうっとしてとろりと溶けた瞳で言われると、凄く嬉しかった。
 俺は身体を優しく抱いてあげて

「いや、さつきはいくらでも気持ちよくなっていいよ。その方が嬉しいから」

 そっと頬や首筋に舌を這わせて、自分のモノだと顕示するようにキスマークを付けていった。

「志貴くん……」

 さつきも身体を翻し、俺の胸に顔を埋めてキスする。そんなさつきの頭を撫でてあげると、シャンプーの匂いでぴくりとペニスが反応してしまった。

「さつき……もう一度したい……」

 俺が素直にそう告げる。正直何日も我慢していた分は、とてもじゃないけど一度や二度じゃ治まりそうにはなかった。

「うん……さっきも言ったけど、私は志貴くんだけのメイドだから……ご主人様のしたいだけ、私を愛してください……」

 逆にきゅっと抱きしめられて、心地よい疲れまでもが一気に吹き飛んでしまった。
 俺はさつきをもう一度組み敷くと、今度は正常位からさつきの中を味わっていた……

「……志貴さま、弓塚さん」
「ん……?」

 翡翠の声が聞こえる。それに弓塚って……って!?

「志貴さま、弓塚さん」

 俺は急に覚醒すると、がばっと起きあがった。
 その振動につられてか、さつきも眠りから覚めたようだった。

「……おはよう、翡翠……」
「え……あ!……おはよう、ございます……」

 二人とも真っ赤になりながら、布団の中で縮こまっていた。

 あの後、俺達は今までの埋め合わせをするかの如く、激しく愛し合ってしまっていた。
 もう何回出したかも分からないし、さつきが何度飛んだかも覚えていない。メイドプレイの勢いそのままに新しい体位を試したりして、最後は倒れるように二人でベッドに横になったっけ。
 本当はさつきを部屋に帰さないと、朝翡翠に見つかってしまうって分かっていたんだけど、いつものように

「十分、こうしていよ……?」

 とさつきに言われ、十分、十分……と思っているウチに、どうやら二人とも寝てしまったらしい。
 布団が掛けられているのは、自分たちで寝ぼけて寒さから被ったか、それとも見回りに来た琥珀さんあたりに……と思うと、ちょっとだけぞっとした。

「お食事の用意は出来ています。その……なるべくお早く服を着てからお越し下さい」

 そう言うと、翡翠は一礼をして部屋を出ていった。
 見ると、途中で脱ぎ散らかしてしまったさつきのメイド服はきっちりと折り畳まれ、机の上に置いてあった。

「……」
「……」

 何とも気まずい雰囲気でさつきと交互に見つめ合う。
 さつきはヘッドピースをしたままで、それと確か靴下は敢えて脱がさなかったから……とか考えると、思いっきり俺が赤面してしまった。

「さ、さつき……着替えるから、そっち向いてて」
「う、うん……」

 俺はとりあえずバッと窓の方を指さすと、ベッドから這い出て服を着込んでいた。
 ああ、やっちまったかな……
 正直食堂に行くのもはばかれるが、行かないなら行かないで地獄が待っていそうだ。
 すごすごと容疑者が出頭するように行くしかないのか……と、昨日の快感は何処へやら、深い溜息をついていた。








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