(ナニかあったと思いねえ)

 

 


「あ……」

 激しい情事が終わり。
 先輩は体をずらしてペニスを膣から抜き取る時、その名残惜しさからか声が漏れ、そして

「遠野くんの……中で、いっぱい」

 膣内の精液を改めて感じながら微笑んで、ゆっくりと横に起きた。俺も一緒に体を起こして、肩を抱き合わせる。

「遠野くん……」

 先輩が肩に頭をもたげて、それからこちらを見上げて……
 ゆっくりと、キス。
 そして……

「わたしは、契約します」

 そう呟いて先輩が瞳を閉じると、その胸元に一つの光が生まれ、そして先輩の中へ消えていった。

「先輩……」

 これで……

「はい、わたしはあなたの……」

 そこまで言って言葉を戸惑わせる先輩。

「……あなたの、ものです」

 頬を染め瞳を反らし、その言葉が濡れた唇から発した先輩は、綺麗だった。
 から……

「先輩、もっと……」
 味わいたい。もっともっと、その体をめちゃめちゃにしてしまいたかった。
 ……が
 コトリ

「……ん?」

 部屋のドアがこっそりと開いたのに気付いて、ふたりでそちらに目をやると……

「こ、琥珀さん……」
「あは〜、ばれちゃいました〜」
「それに、セブン……?」
「あわわわわ、マスター。これは、これは……」

 俺達は現れた姿に一瞬ぽかんとしていたが、自分たちの姿に気付いた途端に真っ赤になり、あわててシーツを引き寄せてお互いの体に纏わせていた。

「ふ、ふたりとも……もしかして」
「の……ぞいていました?」

 俺達はその事実に頭が真っ白になる。

「だって、出歯亀は良くないですってわたしは言ったのに……でも、アンバーさんが……」

 セブンが半泣きで言い訳をすると、隣の琥珀さんの後ろに隠れてしまう。

「……琥珀さん」
「アンバー……いや、琥珀さん」

 俺達はその真犯人を見ると

「あは……あはははは」

 額に一筋の汗を浮かべ、後ろ手にほうきを持って笑っていた。
 自分であれほどセブンに出歯亀は良くないと言っておきながら、この人は……

「だって、様子を見に来たらしっぽり始めちゃってるんですもの、そりゃあ見るなと言う方が……」

 と、視線を合わさず言うが、遂に居直ったか

「あは〜。あんなの見せられちゃいましたら、こっちだって我慢できないんですよ〜、もうっ……!」

 と、後ろ手にしてた手がスルリと動くと、帯が外れて……

「わたし達も、混ぜてくださいな……マスター」

 琥珀さんの和服がはだけられて、鎖骨が見え、胸は僅かに隠れ、だというのに下はすっかり晒されて……その内股には既に濡れてどうしようもなくなっている琥珀さんのピンク色の花びらがチラリと覗き……扇情的な姿に、あれだけ交わった直後だというのに言葉がなかった。

「たち……って、ま、まさか、わたしもですか!?」

 そう言って焦るセブンの手を琥珀さんはがっしと掴む。

「もちろんですよ、セブンちゃんだってあれほど興奮してたじゃないですか、今更隠すつもりですか……?」

 そう言うと、琥珀さんは見事にセブンの手を捻り上げて前に持って来ると、ぽーんとこちらに押した。

「わわわっ!」

 ベッドに倒れ込むようにセブンが来ると、その服のお尻の部分は確かに湿って色が変わっていた。

「もうみんな解ってる事なんですから、ここはマスターに……」

 そう言って、自分も服を脱ぎながら琥珀さんが近付いてきた。

「セブン……」

 先輩は何だかどういったらいいのか解らない表情。まぁ自分も、そしてセブンまで手込めにされてる状況で、どんな顔をすればいいのか解らないのだろう。が

「マスター、良かったですね」

 セブンはにっこりと先輩に笑いかけと、その瞳は穏やかなものに変わり、それからちょっとだけ恥ずかしそうに視線をセブンから逸らす。

「……馬鹿言いなさい」

 そう言いながらも、先輩は俺の方を見つめて今度は

「これから、セブンも含めてよろしくお願いしますね、遠野くん……」

 頭を下げたかと思うと、不意に口づけられた。

「!?」
「あ〜、シエルさん抜け駆けはダメですよ〜」
「何言ってるんですか、元々はわたし達が今してたんですから」
「マスター、以外と大胆……」
「もうっ、今はみんなの志貴さんなんですからね……」

 まだ月は天頂にも遠く、長い夜はまだまだこれからだと悟って……

「あは、あはははは……」

 俺は三人に囲まれて、笑うしかなかった。