「……」 3日後、早くもその結果が舞い戻ってきた。 「まぁ、ここから伸ばせばいいのよ」 と、一緒に結果を見ている朱鷺恵さんがなぐさめてくれるが、正直居場所がない気分だった。 「そうだ! 私が勉強、教えてあげる」 それは突然の提案だった。 「大丈夫よ、これでも私だって同じ道を通ったんだし、それにぐうたらだけど大学生よ? お姉さんに任せなさいって」 と胸を叩いて、早くもやる気満々だった。 「そんな、食事まで作ってもらって更に勉強なんて、朱鷺恵さんにそこまで負担がかけられません」 俺は強く否定したが、朱鷺恵さんは引かなかった。 「いいの。志貴君の為なら私はいくらでも協力するわ。それにね、大学の専門ばっかりで、こういうのも新鮮で良いかなーって思うの。自分の為にも刺激が欲しいし、それでもダメ?」 覗き込まれるように言われ、さらに朱鷺恵さん自身の理由まで掲げられたら、断れない。 「……分かりました。でもあまり頼らないように俺も努力しますから」 正直嬉しかったくせに、どうして素直に言えないんだろう、と自分に思いながら了承した。 「あー、それって私を信用してないって事? 酷いなぁ、志貴君……」 俺はそんな拗ねたようにする朱鷺恵さんをなだめるのに必死になりながらも、こうしていろんな時間を朱鷺恵さんと一緒にいられると思うのが、何よりも幸せだった。 「ふふっ、実は勉強を観てあげようって最初から決めてたんだよ」 多分どうしても詰まった時には、俺も朱鷺恵さんに助けを求めていたのだろう。 それから、ふたりでの勉強が始まった。
そんなある日、俺は窓の外をぼうっと眺めながら、雲を見ていた。 玄関に下りると、諦めて走って帰る人、雨宿りを続ける者と予想通りごった返していた。 玄関の入り口に、その人を見つけていた。
|