「なんだか……恥ずかしいな」

 ベッドにもつれるように倒れ込んで、朱鷺恵さんが頬を赤らめる。

「私の部屋……だもんね」

 確かに、ここは朱鷺恵さんの部屋で、朱鷺恵さんのベッドで。
 でも、それ我が逆に嬉しい。

「ふふっ、嬉しいなぁ」

 素直ににやりと笑い、俺は朱鷺恵さんに口づけた。
 ちゅっ、ちゅっ
 啄むようなキスから、また大人のそれへ。
 絡め合う舌先で喜びを伝える。
 俺の思い、届いていますか?
 朱鷺恵さんのうっとりとした表情に、俺は訴えかける。

「志貴君、嬉しいよ」

 朱鷺恵さんがにこりと、まるで子供のように笑ってくれる。

「うん、朱鷺恵さんのそんな笑顔が大好きだよ」

 恥ずかしい言葉でも、素直に口に出来る、幸せを感じた。
 俺は唇を交わしながら、バスタオルをはぎ取っていった。
 明かりはつけたままだから、蛍光灯の白い光の下に、朱鷺恵さんの肌が白く輝いて現れる。

「……見て、私をもっと見て」

 朱鷺恵さんは手を差し出すように、俺を求めてくれる。
 その手に優しくキスをして、俺はスッと体をずらす。そのまま胸の膨らみに手を添えて、優しく形を変える。
 そうしながら、先端に色づく桜色に優しく舌を這わせ、固さを増してくるその感触を味わった。

「くふぅん……あん……良いよ……好きなように……して……」

 朱鷺恵さんの喘ぎが、俺を気持ちよくさせてくれる。

「朱鷺恵さんも、俺の事好きなようにしていいよ……」

 朱鷺恵さんは、その言葉に俺のトランクスの上からそれをなぞってくれる。
 俺はそれを脱ぎ捨て、そそりたつそれに朱鷺恵さんの手をあてがわせた。

「気持ちよくしてあげる……」

 と、朱鷺恵さんが優しく包んでくれるのがたまらない。
 すかさず俺は反撃を試みるべく乳首を甘く抓り、それから体を横にしながら入れ替えて、朱鷺恵さんの大事な部分を覗き込むようにする。
 それは同時に、自分のそれを朱鷺恵さんの眼前にさらけ出す事となる。

「ああっ……」

 切なそうな声が、腰の方から甘く漏れてくる。
 見られる事に興奮してか、見る事に興奮してか、朱鷺恵さんのそこはしっとりと濡れている。
 同時に俺も、同じような気持ちでより自分のモノをいきり立たせていた。

「んっ……」

 朱鷺恵さんのため息が先端にかかった後、一気にそれは暖かくて柔らかくて濡れた感触に包まれた。
 朱鷺恵さんの口の中で、俺はあまりの気持ちよさにすぐに出してしまいそうになる。
 積極的な朱鷺恵さんの行動に負けじと、俺は上から朱鷺恵さんの花弁を優しく、激しく愛する。
 指でその入り口をくつろげ、花弁から順に唇と舌で含んでいく。
 さらにその奥目指して舌を突き入れ、指は陰核をマッサージするようにして、一時も朱鷺恵さんを休ませないようにいじめた。

「んふっ……ん……んんっ!」

 くぐもりながら、朱鷺恵さんは俺の愛撫に喘ぎを漏らす。朱鷺恵さんの口の中の動きが寄り活発になり、含んでくれていただけが、次第に先端を舌で同時に愛撫するようになり、添えられた手で茎を扱かれ、裏筋に這い回り、陰嚢を揉みしだかれていく。

「志貴君……頂戴……志貴君の証を、頂戴……」

 朱鷺恵さんは、亀頭の傘の部分を舐めながら、俺に射精を促すように妖しい言葉をかけてくる。
 そんな事を言われては、すぐにでもその口の中で果てたくなる。でも……

「朱鷺恵さん……俺、朱鷺恵さんの中に……」

 中に、出したい。
 それは、分かり合えて最初の快感を、共に味わいたい欲望。
 朱鷺恵さんも、それをわかっていたようで、望んでいたようで

「うん……来て……」

 互いに愛撫を繰り返してすっかり潤っていたそれを、近づけさせた。

「朱鷺恵さん……」

 感慨深く、俺は朱鷺恵さんを見つめた。

「ゴメンね、いつも優柔不断で、身勝手で、フラフラしてて……」

 朱鷺恵さんへの、そしてみんなへの謝罪。
 俺は一杯の笑顔を浮かべながら、誓った。

「もう、絶対に離しませんから……!」

 俺は言葉を噛み締めるようにすると、自分のそれをゆっくりと朱鷺恵さんの中に沈めた。

「ああ……ああっ! 志貴君……大好き……」

 朱鷺恵さんの中で、収縮が起こる。
 なんて気持ちいいんだ。
 気持ちよすぎる。
 そして熱すぎる。
 この気持ちよさは、この熱さは、お互いの心と熱が本当に混ざり合ったからか。

「朱鷺恵さん……朱鷺恵さん……!」

 女の子を喜ばせるテクニックなんて、忘れた。
 ただ、稚拙に出し入れを繰り返すだけになる。
 こんなにも愛しい人の前では、今までの経験も全て無に帰する。
 自分が気持ちよくなりたい、エゴの混じった突き上げは、朱鷺恵さんの中を何度も往復する。

「あっ、あっ、あっ、あん! ……志貴、君……っ、いいっ……よぉ……」

 こんな俺の動きを、朱鷺恵さんは喜んでくれている。中はどんどん複雑にうねり、みっちりと埋まった部分が潤滑にまみれて離れようとしないでいる程。

 ただ優しく、果てしなく。
 許す限り俺は朱鷺恵さんを愛して、愛して、愛して……
 だというのに、この気持ちよさは何だろう。
 あっという間に、我慢が出来なくなっていた。
 こみ上げてくる射精感は今までのどの時よりも早く、初めての時のように性急に訪れてきた。

「んっ……志貴君……あっ! 出ちゃう、の……? ああっ!」

 朱鷺恵さんがそんな俺の変化を感じ取って、優しく抱き締めてくれる。
 俺は歯を食いしばり、密着しながら朱鷺恵さんの腰と自分の腰を混ぜ合わせるように動かした。
 直線的な動きから、朱鷺恵さんも動かしてくれるようになって複雑な動きに。

「んっ……出して……中に出して……良いよ……っ……志貴君が私を愛してくれる証を……全部……頂戴……ああっ……!」

 一瞬も離さないと、朱鷺恵さんの腕は首の後ろに強く回され、ぎゅっと締め付けるような感じになり、さらに脚を腰に絡め、完全に動かないようにがっしりと俺を閉じこめた。

「んっ……志貴君……私も、一緒に……んぁっ!」

 全く動けない筈なのに、朱鷺恵さんの中の蠕動運動が俺を翻弄した。
 全体で俺を締め付けるのに、詰まるような苦しさは無く逆に気持ちいい。
 そんな自らの行動に朱鷺恵さんは高みを目指して。

「あっ……ああ……んっ!? ふぅ……ん……っ!」

 唇を塞ぐと、朱鷺恵さんの熱いうねりが俺を襲った。舌が絡みつき、止まらない勢いが更に加速した。
 最後、俺は朱鷺恵さんの体ごと持ち上げるようにすると、叩き付けるようにベッドに沈み込んだ。

「んっ……いやぁ、あああああああ!」

 一番の奥。
 朱鷺恵さんの子宮を叩くような一撃で、全てが解放された。

 ビュクビュクビュク……

 迸る精液が、朱鷺恵さんの中に次々と注がれていく。
 ドロドロとした液体がつかえるのではないかと思う程、俺の先端から激しく吹き出し、朱鷺恵さんを満たしていった。

「あ、あああ……志貴君の熱いのが……中に……赤ちゃん……出来ちゃうよ……」

 朱鷺恵さんは、意識を飛ばしそうになりながら目の前の俺に微笑みかけてくる。
 その愛しさは、何物にも換えられない。
 最後の最後まで、決して体の密着を離さずに放出して
 俺は思いのたけの精液を、朱鷺恵さんに送り込んでいった。
 最後

「嬉……しい、志貴君の……」

 そう言って、朱鷺恵さんはコトリと首を傾けて眠ってしまった。
 失神する程の気持ちよさ。
 それを俺も共有できた気がして、う……れ……し、かっ……た……です……









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