「翡翠ちゃん……」 翡翠ちゃんが、私と一緒に泣いてくれている。 「姉さん……」 ぎゅっと抱き締められている私は、翡翠ちゃんの匂いを一杯に嗅ぎました。それは柔らかく私とはまるで違うようで、でもどこか私に似ているみたいで。安心感を覚えてしまう優しさが、私を満たしていきました。 「翡翠ちゃん」 ゆっくりと髪を撫でてあげ、それから気持ちを通じ合わせる。 志貴さん 私達を、愛してくれる人。 「翡翠ちゃん。私、翡翠ちゃんが志貴さんしているところを……見たいの」 すると翡翠ちゃんは少しだけ驚いたようにして、赤くなってしまいました。涙で赤くなっていた瞳に赤く染まる頬。とても可愛らしい姿で、私は微笑んでしまいます。私はそんな翡翠ちゃんの頬を撫でながら 「私は幸せになれたから……今度は、翡翠ちゃんの幸せを見せて」 そう言って、次は志貴さんを見つめます。私は何よりも真剣な瞳で、同じようにお願いします。 「志貴さん。今度は、翡翠ちゃんを抱いてあげてください。そうしていただけたら、私はもっと幸せになれます。だから、わたしたちを愛してくれる証を、私の前で見せてください」 ああ、なんてはしたないお願いなのでしょうか。二人が愛し合っている姿を見たいだなんて。 「……」 志貴さんと翡翠ちゃんは、黙って私とお互いを交互に見ていました。視線で言葉を交わすと、それから志貴さんが翡翠ちゃんの言葉を代弁するかのように 「……分かったよ、七夜さん。俺達が愛し合うところを、見てください」 答えてくれました。決心の籠もった瞳が誰よりも愛おしい志貴さんに、私は涙を止める事が出来ませんでした。 「ありがとうございます……」 なんて感謝したらいいのか、思いつきません。 「翡翠ちゃん、ありがとう……」 私が少しぼやけた視界に翡翠ちゃんを見た時、確かに翡翠ちゃんは微笑んでくれていました。 「はい」 翡翠ちゃんのその一言で、もういっぱいに嬉しさが溢れてきていました。 少しだけ固さを失った志貴さんのペニスが、私の中からずるりと引き抜かれました。それでもまだ熱くて、抜け落ちる時に私を刺激します。 「んっ……」 少しだけ声を上げてしまうけど、それは痛いからとかじゃなくて、気持ちがいいから。 「はぁ……っ」 息を付いて、私は体を起こします。丁度二人に挟まれるような格好。 「翡翠……」 志貴さんが、少し頬を染めながら翡翠ちゃんに呼びかけました。 「はい……」 答える翡翠ちゃんまでもそれが移ってしまったように、俯いてしまいました。 「いつものように……いえ、いつもよりも沢山、翡翠ちゃんを愛している姿を見せてください」 私の心は志貴さんにきっと届いている。だから、心からのお願いをしました。 こくりと志貴さんが頷いてくれました。そうして決心したように、志貴さんはゆっくりと移動して、翡翠ちゃんの俯く頬に指を触れさせました。 「あっ……!」 ぴくりと、翡翠ちゃんが反応して志貴さんを見つめました。少しだけ緊張しているようで、動きがぎこちなかったです。 「翡翠……七夜さんのお願い、一緒に……叶えよう」 その言葉に、翡翠ちゃんは 「……はい」 ゆっくりと頷いて、それから私を見ました。 見て……ください そんな声が心に聞こえてくるように感じて、私は嬉しさに笑顔を見せました。 すうっと……志貴さんの顔が動いて、翡翠ちゃんに重なっていく。 二人のキスを見ているだけなのに、たまらない嬉しさが私を襲います。涙が、涙が溢れてしまいます。 「ぁ……」 触れ合うだけのキスが、こんなに綺麗だなんて。こんなに気持ちを暖かくしてくれるだなんて。 「んっ……」 志貴さんの舌が、優しく翡翠ちゃんの唇を伝い、その口の中に進んでいきました。 「あ……」 翡翠ちゃんが甘く声を上げ、志貴さんの舌を受け入れています。優しく口内の輪郭をなぞるかのように触れられる舌を、嬉しそうに自分のそれと触れさせて。 私の体は志貴さんに触れられているわけではないのに、熱く火照っていました。それは翡翠ちゃんが口づけをされているのを通して、私まで感覚を共有してしまっているかのように熱く、とろけそうに。 やがて、志貴さんの舌が少しだけ翡翠ちゃんから離れます。二人を繋ぐ唾液の橋はトロリとシーツまで落ち、美しくありながら、強く性的な興奮を覚えさせてくれます。 「ああっ……」 翡翠ちゃんが力の抜けるように反応して、その濡れた唇から可愛い声を上げます。 首筋、鎖骨、肩……そして、かわいいその乳房まで。 「ああっ! 志貴……さま」 翡翠ちゃんのかわいいピンク色の乳首に志貴さんの唇が触れた時、その翡翠ちゃんの声に私の体が反応していました。 「ああ……はぁ、志貴さま……んっ……」 気持ちよさが伝わる声に、私の胸も同じように感じて。その胸が切なくて、私は指をそっと触れさせました。 「ああ……」 声を上げながら、私は二人を見続けたいと瞳を開きます。 「あっ……あっ……あ……」 胸を差し出し少しだけ仰け反りながら、翡翠ちゃんの可愛い喘ぎ声が断続的に聞こえてきます。 「んっ……んん……っ」 二人を気遣うように声を抑えますが、漏れ出るそれを抑える事が出来ません。 「ああ……ああ……っ!」 ビクビクと体を震わせながら翡翠ちゃんが反応するのを嬉しそうに見つめ、志貴さんの舌は下腹部に移っていきました。 ああ、翡翠ちゃんの、かわいい…… 「綺麗だよ……」 志貴さんの言葉は、私の胸をもきゅうっと締め付けました。 ぴちゅ、ぴちゅと蜜を舐め取る音を響かせ、志貴さんが翡翠ちゃんのそこを愛してあげています。 「ああ……、気持ち、いいです……」 そうして悦びのため息を上げる翡翠ちゃんの声は控えめだから、余計私を興奮させてくれる。 「んっ……あっ……」 いや……気持ちいい…… 「ああっ! ……ああ、ん、はぁっ! ……あああ」 すると今度は声に反応して、もっともっと私の中が溶けていきます。熱く自らの中に沈める指は、先程の志貴さんの精液と、自らの愛液にしとどに濡れ、より潤滑を良くしてしまいます。 奥へ奥へ。 くちゅくちゅと音を立てているのは私のここか、それとも翡翠ちゃんのそこなのか。それが分からない程水音が頭の中でこだまして、頭の奥がじーんとしていきます。 「志貴、さま……」 ふたりで同じ人の名前を呼び、私達は気持ちよくなっていきます。翡翠ちゃんの奥に志貴さんの指が入り込み、二本の指がせわしなく動いています。前後に、左右に、こねるように、奥を擦るようにして、志貴さんの指はもうとろとろになった翡翠ちゃんの愛液がまとわりついていました。 「んっ! んんっ!」 翡翠ちゃんの声が大きくなり、いっぱい感じているんだって分かっちゃいます。 ああ、すごい…… その指が私をもっとみだらにさせて、自分の指の動きをもっと激しくしてしまいました。ぐちゅぐちゅという粘性のある音が私の中からもっともっと溢れ、シーツをドロドロにしてしまいました。 「あっ……志貴さま」 一瞬快感を解かれた翡翠ちゃんが、切なそうに志貴さんを見つめていました。志貴さんはわかった、というように優しくクリトリスを舐め、少しだけ歯を立てながらまた翡翠ちゃんを悦ばせます。 「ああっ……んあっ! あああっ!」 翡翠ちゃんの腰が、志貴さんの顔に押しつけるようにして波打って動きます。凄く感じていて、もういっちゃうのかな? 「志貴さま、私、もうっ……!」 翡翠ちゃんが、体をぴくっと震わせながら志貴さんの頭に手を置き、体を反らせました。 気付いたら、志貴さまが満足そうに微笑んで翡翠ちゃんを優しく抱き留めていました。その眼鏡にかかる液体は恐らく翡翠ちゃんの飛沫。凄くいやらしくて、まだぼーっとしていた私も熱が冷めていきませんでした。 「翡翠……可愛かったよ……」 頭を撫でながら優しく呼びかけるようにしている志貴さん。そして 「七夜さんも、一緒だったね」 意地悪いようでなく、本当に優しくそう言ってくださいました。 「姉……さん」 まだ呆けた目で私を見る翡翠ちゃんに、私はうん、と頷きました。 「翡翠、最後までしよう」 志貴さんは少し我慢できない、というように翡翠ちゃんの耳元で呼びかけました。 「はい……」 恥ずかしがりながらこっくりと頷く翡翠ちゃんを横たえると、志貴さんが体を重ねようとしました。 「翡翠……ちゃんと、見せてあげたいんだ。七夜さんに俺達がしているところ」 志貴さまの言葉に、翡翠ちゃんが少しだけ分からないように答えました。 「あ……こんな……」 翡翠ちゃんは私に見られるような格好に、後ろを振り返って志貴さまに困惑の表情を投げかけます。志貴さんは少しだけお願いするように 「ごめん翡翠。でも、こうしたいんだ。七夜さんの為に……」 私の為に…… 「……わかりました」 翡翠ちゃんは顔を赤らめながらそれでも決心したように強く頷いて、それから私を見ました。 「姉さん……見てください。今度は、私が志貴さまのものになるところ……」 真剣な瞳。 「うん」 頷き、私は二人を見つめます。 「いくよ……」 ゆっくり、浮かされていた翡翠ちゃんのそこへ、志貴さんのペニスが突き上げていきます。先端がゆっくりと翡翠ちゃんの中に沈み 「んんっ……」 翡翠ちゃんが手をぎゅっと握りながらその挿入感にからだを強ばらせ、震えます。 「はあっ……」 そうして、ゆっくりとゆっくりと、志貴さんの全てが翡翠ちゃんの中に収まりました。 「入ったよ……」 志貴さんの言葉に、私も翡翠ちゃんもこくりと頷いてしまいました。 ああ、凄い……あんなに嬉しそうに志貴さまを包み込んで…… そうしてゆっくりと、志貴さんが動きます。抜き出されるペニスに翡翠ちゃんの熱い液が混じり、そうして花びらが外に開くようにして志貴さまに弄られます。 腰がふらふらで、自分でもどうしたらいいのか分からない程に気持ちいいです。 「ん……んん……はぁ……志貴さま……こんな……あっ……!」 翡翠ちゃんは激しく強い快感に驚いている様子です。 「ああ、翡翠の中、きゅうきゅうだよ。いつもよりいっぱい締め付けてくる」 志貴さんもその効果を感じ取っているようで、嬉しそうに翡翠ちゃんの耳たぶを優しく噛み、舐めました。 「きゃあっぅ!」 ビクンと、瞬間翡翠ちゃんが跳ね、下の方では更に志貴さんを締め付け、膣ではぎゅうぎゅうと搾り取っているのでしょう。 「七夜さん、寂しいでしょ……翡翠を、かわいがってあげて」 すると、そうして見つめているうちに志貴さんが声を掛けてきました。 「えっ……?」 私は突然のお誘いに、ふわふわりとしていた気持ちが急に驚きで戻されていきました。 「ほら……ここ、翡翠のここがかわいいでしょ」 と、指を出して翡翠ちゃんのクリトリスを撫でます。 「ああっ! 志貴さま!?」 その提案に同じく驚いて翡翠ちゃんが何か言おうとしましたが、志貴さまの指の動きに逆らえず、喘ぎを繰り返すだけになっていました。 「舐めてあげて……七夜さんが気持ちいいように、翡翠にも」 そう言われて、私はあたまがぼうっとしてしまいました。 「姉さん……!」 翡翠ちゃんが哀願するような声が、私の耳には聞こえないほどにそこには…… 「はあっ! 姉さんっ……!」 翡翠ちゃんが、大きく体を仰け反らせながら喘ぎました。私がぴちゃぴちゃと音を立ててクリトリスを舐めてあげる度に、翡翠ちゃんの体は跳ねるように動き、同時に腰は快感にわなないていました。 「そう、七夜さん上手だよ……もっと、悦ばしてあげて」 そう言いながら、志貴さんの腰の動きが再開されました。 「ああっ! 志貴さま!!」 その動きに翡翠ちゃんが翻弄されている間に、私も何度も何度も翡翠ちゃんを責めます。同時に志貴さんも悦ばせようと、翡翠ちゃんからはみ出る茎の部分に舌を這わせ、指では優しく志貴さんの陰嚢を触り、揉んでさしあげました。 「ああ……翡翠も七夜さんもいいよ。すごく気持ちいい……」 そんな言葉が投げかけられると、私はより一層嬉しくなってしまいます。まるで褒められた子供のようにそれを一層続け、更にもう片方の手が翡翠ちゃんのクリトリスを剥き出しにさせて、そこへ直接舌を触れさせました。 「ああああっ! 駄目、駄目です、姉さ……ん!!」 首を激しく振り、翡翠ちゃんが飛ばされそうになるのを必死で堪えています。 「あっ! あっ! ああっ! そんな……もうっ!!」 驚きの表情を快感に滲ませながら、ぐうっと翡翠ちゃんの腰が収縮し志貴さんを締め付けていきます。 「ああ翡翠……もう出すよ」 同じように限界を告げていました。 「志貴さん、いっぱい、いっぱい出してあげてください。翡翠ちゃん……志貴さんをいっぱい受け止めてあげて……」 私は二人に呼びかけそれを後押しするかのように口と指を動かしました。 「ああっ、志貴さま……!」 激しく二人は揺れ、声もうわずったものになっていきます。それに私も交わるようにして二人を責め、 「ああああああっ!!」 大きな叫びと共に、遂に二人の動きが同時に止まりました。 それは何よりもいやらしい光景。 それを見ていると、私も嬉しくて…… 「あああああ……」 何もしていなかったのに、私は奥から沢山の蜜を零して達してしまいました。頭を二人の結合部にもたげるようにしてしまうと、まだ放出の収まらぬ志貴さんのペニスが、どくどくと音を立てて注いでいるようでした。 「ああ……」 翡翠ちゃんはあまりの快感にか、気を失っていました。その体がゆっくりと志貴さんに寄りかかるようにして、志貴さんがその体を嬉しそうに抱き留めました。 「翡翠……よかったよ。七夜さん……」 志貴さんは浅い呼吸になっている翡翠ちゃんにそっと声を掛けてあげた後、私の方を見ました。 「はい……ありがとうございます……」 大変、嬉しかったです。嬉しくて嬉しくて嬉しくて……他に言葉ありませんでした。 「翡翠ちゃんも、ありがとう……」 たくさんのありがとうを込めて、口づけをしました。 ゆっくり志貴さんは体を横たえベッドに横になり、翡翠ちゃんを自分の横に寝かせました。頭をしばらく撫でていらっしゃると、翡翠ちゃんが目を覚ましました。 「ん……」 私達は優しくその顔を見つめると、翡翠ちゃんは全てを包むような優しい笑顔で 「私……とても嬉しかったです。姉さんに見て貰えて……こんなに嬉しい気持ちになったのは、初めてでした」 そう言ってくれました。 「ああ、よく頑張ったよ、翡翠」 私達はそれぞれ言葉を述べ、見つめ合いました。ふっと笑顔が抜け、翡翠ちゃんがもう少し眠りたいような感じに見えました。激しくて疲れちゃったのかな。 「ご一緒に眠りましょう、志貴さん、翡翠ちゃん」 と、私は布団を掛けてあげながら翡翠ちゃんとは志貴さまを挟んで反対側に横になり、そのまま志貴さんの胸に頭を置きました。 「姉さん……」 私達は見つめ合って……手を繋ぎました。 「おやすみ、翡翠、七夜さん……」 その声も遠く感じながら、私はゆっくりと瞼を閉じていきました。
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