「翡翠ちゃん……」

 翡翠ちゃんが、私と一緒に泣いてくれている。
 凄く、凄く嬉しくて、もっと涙が溢れてきてしまいます。
 志貴さんが、私を愛してくれた……
 まだ私の中にあるそれから、私は沢山の証を頂きました。熱いとも感じてしまう精液が冷え切った私の体を、そして心を暖かくしてくれているのが分かります。
 さっきの浮遊感はとても気持ちよく、今までに一度も経験した事がないような幸せ。その感覚は、恐らく二度と忘れる事が出来ないでしょう。

「姉さん……」

 ぎゅっと抱き締められている私は、翡翠ちゃんの匂いを一杯に嗅ぎました。それは柔らかく私とはまるで違うようで、でもどこか私に似ているみたいで。安心感を覚えてしまう優しさが、私を満たしていきました。
 そんな翡翠ちゃんに、私は……

「翡翠ちゃん」

 ゆっくりと髪を撫でてあげ、それから気持ちを通じ合わせる。
 私の心を読みとるように、翡翠ちゃんの体が動き、目の前に優しいあの人の笑顔が現れました。

 志貴さん

 私達を、愛してくれる人。
 私だけじゃなくて、翡翠ちゃんだけじゃなくて、わたしたち。
 そう思うと、もっと、もっと、もっともっと志貴さんを愛おしく思います。
 だから私は上を向いて、そこで嬉しくて泣いてくれている翡翠ちゃんにお願いしました。

「翡翠ちゃん。私、翡翠ちゃんが志貴さんしているところを……見たいの」
「えっ……」

 すると翡翠ちゃんは少しだけ驚いたようにして、赤くなってしまいました。涙で赤くなっていた瞳に赤く染まる頬。とても可愛らしい姿で、私は微笑んでしまいます。私はそんな翡翠ちゃんの頬を撫でながら

「私は幸せになれたから……今度は、翡翠ちゃんの幸せを見せて」

 そう言って、次は志貴さんを見つめます。私は何よりも真剣な瞳で、同じようにお願いします。

「志貴さん。今度は、翡翠ちゃんを抱いてあげてください。そうしていただけたら、私はもっと幸せになれます。だから、わたしたちを愛してくれる証を、私の前で見せてください」

 ああ、なんてはしたないお願いなのでしょうか。二人が愛し合っている姿を見たいだなんて。
 でも見せて欲しい、本当に二人が愛し合っている姿を。私の中で誰よりも大事な二人が愛を確かめている姿を、この目に焼き付けておきたい。
 それは嫉妬の証でもなく、悲恋の証でもありません。
 ただ、一緒だって思う気持ち。わたしたちが一緒なんだっていう想いの証。
 私が志貴さんを愛していて、翡翠ちゃんが志貴さんを愛している。
 そして、志貴さんがわたしたちを愛している。
 それを教えてくれる、最良の方法。
 だから、私はお願いするのでした。

「……」

 志貴さんと翡翠ちゃんは、黙って私とお互いを交互に見ていました。視線で言葉を交わすと、それから志貴さんが翡翠ちゃんの言葉を代弁するかのように

「……分かったよ、七夜さん。俺達が愛し合うところを、見てください」

 答えてくれました。決心の籠もった瞳が誰よりも愛おしい志貴さんに、私は涙を止める事が出来ませんでした。

「ありがとうございます……」

 なんて感謝したらいいのか、思いつきません。
 そして

「翡翠ちゃん、ありがとう……」

 私が少しぼやけた視界に翡翠ちゃんを見た時、確かに翡翠ちゃんは微笑んでくれていました。

「はい」

 翡翠ちゃんのその一言で、もういっぱいに嬉しさが溢れてきていました。

 少しだけ固さを失った志貴さんのペニスが、私の中からずるりと引き抜かれました。それでもまだ熱くて、抜け落ちる時に私を刺激します。

「んっ……」

 少しだけ声を上げてしまうけど、それは痛いからとかじゃなくて、気持ちがいいから。
 中に注がれた志貴さんの精液が、結合を解いた私の入り口からとろりと零れ落ちていくのを見つめると、少しだけの寂しさを覚えますが、それは沢山私を愛してくれて、沢山注いでくれた証。同時に現れた嬉しさの方が、何倍も大きいものでした。

「はぁ……っ」

 息を付いて、私は体を起こします。丁度二人に挟まれるような格好。
 そうして、私は二人の姿を一緒の視界にとらえたくて、体をベッドの横にゆっくりと移しました。
 志貴さんと翡翠ちゃんが、少しだけ困った顔をしています。これからどうしたらいいのか、まるで初めての二人が緊張しているかのように。

「翡翠……」

 志貴さんが、少し頬を染めながら翡翠ちゃんに呼びかけました。

「はい……」

 答える翡翠ちゃんまでもそれが移ってしまったように、俯いてしまいました。
 志貴さんがどうすればいい、というように私を見てきました。

「いつものように……いえ、いつもよりも沢山、翡翠ちゃんを愛している姿を見せてください」

 私の心は志貴さんにきっと届いている。だから、心からのお願いをしました。

 こくりと志貴さんが頷いてくれました。そうして決心したように、志貴さんはゆっくりと移動して、翡翠ちゃんの俯く頬に指を触れさせました。

「あっ……!」

 ぴくりと、翡翠ちゃんが反応して志貴さんを見つめました。少しだけ緊張しているようで、動きがぎこちなかったです。

「翡翠……七夜さんのお願い、一緒に……叶えよう」

 その言葉に、翡翠ちゃんは

「……はい」

 ゆっくりと頷いて、それから私を見ました。

 見て……ください

 そんな声が心に聞こえてくるように感じて、私は嬉しさに笑顔を見せました。

 すうっと……志貴さんの顔が動いて、翡翠ちゃんに重なっていく。
 そして、二人の線が繋がった時……
 二人の唇は、優しく触れ合っていました。

 二人のキスを見ているだけなのに、たまらない嬉しさが私を襲います。涙が、涙が溢れてしまいます。

「ぁ……」

 触れ合うだけのキスが、こんなに綺麗だなんて。こんなに気持ちを暖かくしてくれるだなんて。
 もっと、その先が知りたい。その先を見たい。

「んっ……」

 志貴さんの舌が、優しく翡翠ちゃんの唇を伝い、その口の中に進んでいきました。

「あ……」

 翡翠ちゃんが甘く声を上げ、志貴さんの舌を受け入れています。優しく口内の輪郭をなぞるかのように触れられる舌を、嬉しそうに自分のそれと触れさせて。
 優しく、優しく。
 甘く、甘く。
 唾液を伝え合う口づけに自然と翡翠ちゃんの強ばりも解け、志貴さんに全てを委ねるように体を寄せていきました。
 ちゅっ、ちゅっ
 時折二人の唇の間から漏れ出る優しい水音が、わたしたちを興奮させていきます。

 私の体は志貴さんに触れられているわけではないのに、熱く火照っていました。それは翡翠ちゃんが口づけをされているのを通して、私まで感覚を共有してしまっているかのように熱く、とろけそうに。
 翡翠ちゃんも、今こんなに熱いの?
 見つめる先には、私と同じ顔をした翡翠ちゃんが、幸せと気持ちよさを一杯に表した顔で志貴様と唾液を交換しています。
 私の中で次々と湧いてくる唾液が、まるで志貴さんのそれを流し込まれたかのように熱く甘くなっていきます。それを嚥下して、私もとろりと溶けてしまいそうになって、ああこんなにもと感じてしまいました。

 やがて、志貴さんの舌が少しだけ翡翠ちゃんから離れます。二人を繋ぐ唾液の橋はトロリとシーツまで落ち、美しくありながら、強く性的な興奮を覚えさせてくれます。
 そのまま志貴さんの舌が動き、翡翠ちゃんのその細い首筋に触れられました。

「ああっ……」

 翡翠ちゃんが力の抜けるように反応して、その濡れた唇から可愛い声を上げます。
 その声が、私をより熱くさせます。
 翡翠ちゃんが、感じている。
 そう思うだけで、全身が総毛立つような感覚が私を襲い、ぼうっとしてしまいます。

 首筋、鎖骨、肩……そして、かわいいその乳房まで。

「ああっ! 志貴……さま」

 翡翠ちゃんのかわいいピンク色の乳首に志貴さんの唇が触れた時、その翡翠ちゃんの声に私の体が反応していました。
 じゅんっと、先程志貴さんに挿れて頂いた部分が蜜を零し始めます。
 いやだ私、こんなはしたない……
 そう思うのですが、目の前の翡翠ちゃんの可愛く啼く姿を見つめると、どうしても抑えられません。
 ちゅっと優しく先端を吸い、舌で周縁から優しくなぞるような志貴さんの動き。

「ああ……はぁ、志貴さま……んっ……」

 気持ちよさが伝わる声に、私の胸も同じように感じて。その胸が切なくて、私は指をそっと触れさせました。
 ああ、なんて気持ちいい……
 目の前の翡翠ちゃんが感じているように、私も志貴さんに胸を弄られて感じている。
 錯覚では決してないその快感に、私は瞳を閉じてしまいます。

「ああ……」

 声を上げながら、私は二人を見続けたいと瞳を開きます。
 ちゅ……ちゅぴ……
 音を立てるように、私に聞かせるように志貴さんが交互にその先端を愛撫し続けます。

「あっ……あっ……あ……」

 胸を差し出し少しだけ仰け反りながら、翡翠ちゃんの可愛い喘ぎ声が断続的に聞こえてきます。
 私も固くなった自らの先端を、唾液で濡らした指でなぞり続けます。

「んっ……んん……っ」

 二人を気遣うように声を抑えますが、漏れ出るそれを抑える事が出来ません。
 翡翠ちゃんはそれに気付かないのか、愛されるままに感じ続けています。
 志貴さんはそれで興奮をより高めているように、翡翠ちゃんの感じるところを吸っています。
 先端から離れ、周りからなぞり上がる舌の動きは、見ている私も艶めかしい感触に震え上がってしまいます。

「ああ……ああ……っ!」

 ビクビクと体を震わせながら翡翠ちゃんが反応するのを嬉しそうに見つめ、志貴さんの舌は下腹部に移っていきました。
 脚を合わせて閉じられた部分を、志貴さんが手でゆっくりと開いていきます。翡翠ちゃんは恥ずかしそうに瞳を反らしながら、でも素直にそれを受け入れて、自らの園を志貴さんの前に晒していきます。
 私は開かれていく部分に視線を捕らわれながら、遂にその中心を見つめる事が出来ました。

 ああ、翡翠ちゃんの、かわいい……
 綺麗で、可憐で、それでいていやらしくて……そんな華が、私の瞳に写りました。
 しっとりと濡れていて薄く華開いているそこは、翡翠ちゃんが気持ちよくなっているからそうなっているんだなぁと、私は嬉しく思いました。そんなに優しく一杯愛されている翡翠ちゃんは幸せそうで、それが今の私の幸せにもなっている。

「綺麗だよ……」

 志貴さんの言葉は、私の胸をもきゅうっと締め付けました。
 はい、わたしも、嬉しいです……
 そう心の中で強く想いながら、私は志貴さんが花弁に口づけていくのを見つめました。

 ぴちゅ、ぴちゅと蜜を舐め取る音を響かせ、志貴さんが翡翠ちゃんのそこを愛してあげています。

「ああ……、気持ち、いいです……」

 そうして悦びのため息を上げる翡翠ちゃんの声は控えめだから、余計私を興奮させてくれる。
 じゅくじゅくと、私の合わせた内股が水気を帯びていきます。先程の交わりの分だけでない、新たな液体が私を伝い始めるのを感じていました。
 ああ、ごめんなさい……
 自然に、私の指は自らのそこへ優しく触れていきました。ふっと触れるだけで、とろとろになった自分の花弁が、私に快感を返してくるのが分かります。

「んっ……あっ……」

 いや……気持ちいい……
 私は二人を見続けたいのに、その指が止まりません。
 優しくも強い快感が私の顎を上げさせ、瞳を閉じさせます。刺激から逃れようとして感覚を遮断するかのように瞳をぎゅっと閉じると、今度は翡翠ちゃんの声が大きく伝わってきます。

「ああっ! ……ああ、ん、はぁっ! ……あああ」

 すると今度は声に反応して、もっともっと私の中が溶けていきます。熱く自らの中に沈める指は、先程の志貴さんの精液と、自らの愛液にしとどに濡れ、より潤滑を良くしてしまいます。

 奥へ奥へ。
 そんなオンナの性とも思える情動に、迷いを覚えたのは一瞬。
 そのまま導かれるまま、指はより深く私を愛撫します。
 いつの間にか志貴さんが舌だけでなく指も使って翡翠ちゃんを愛し始めたように、私の指はするりと中に飲み込まれていきました。

 くちゅくちゅと音を立てているのは私のここか、それとも翡翠ちゃんのそこなのか。それが分からない程水音が頭の中でこだまして、頭の奥がじーんとしていきます。

「志貴、さま……」
「志貴、さん……」

 ふたりで同じ人の名前を呼び、私達は気持ちよくなっていきます。翡翠ちゃんの奥に志貴さんの指が入り込み、二本の指がせわしなく動いています。前後に、左右に、こねるように、奥を擦るようにして、志貴さんの指はもうとろとろになった翡翠ちゃんの愛液がまとわりついていました。

「んっ! んんっ!」

 翡翠ちゃんの声が大きくなり、いっぱい感じているんだって分かっちゃいます。
 気持ちよさそう。
 少しだけ羨ましそうに見つめると、志貴さんが視線に気付いてしまったのか、私を見つめました。ふっと笑ってほら、というように指を見せつけてきます。

 ああ、すごい……

 その指が私をもっとみだらにさせて、自分の指の動きをもっと激しくしてしまいました。ぐちゅぐちゅという粘性のある音が私の中からもっともっと溢れ、シーツをドロドロにしてしまいました。

「あっ……志貴さま」

 一瞬快感を解かれた翡翠ちゃんが、切なそうに志貴さんを見つめていました。志貴さんはわかった、というように優しくクリトリスを舐め、少しだけ歯を立てながらまた翡翠ちゃんを悦ばせます。
 ごめんね、翡翠ちゃん。寂しかった? 私はちょっとだけ罪悪感を思おうとするけど、あそこから感じる快感にすぐに霧散しちゃいました。

「ああっ……んあっ! あああっ!」

 翡翠ちゃんの腰が、志貴さんの顔に押しつけるようにして波打って動きます。凄く感じていて、もういっちゃうのかな?
 それに合わせて、志貴さんが激しく指を動かしています。翡翠ちゃんが腰が浮き上がる程に指を抜き差しされて、ひくひくと体を痙攣させ始めました。
 私も同時に自分のクリトリスを弄って高みを目指します。翡翠ちゃんと一緒に……

「志貴さま、私、もうっ……!」

 翡翠ちゃんが、体をぴくっと震わせながら志貴さんの頭に手を置き、体を反らせました。
 同時に、翡翠ちゃんのそこからぴゅぴゅっと、水のようなものが吹き出して、志貴さんの顔を濡らしました。
 その光景を最後に、私も一緒に遠くにふっと飛び上がっていきました。
 ああ、翡翠ちゃん……

 気付いたら、志貴さまが満足そうに微笑んで翡翠ちゃんを優しく抱き留めていました。その眼鏡にかかる液体は恐らく翡翠ちゃんの飛沫。凄くいやらしくて、まだぼーっとしていた私も熱が冷めていきませんでした。

「翡翠……可愛かったよ……」

 頭を撫でながら優しく呼びかけるようにしている志貴さん。そして

「七夜さんも、一緒だったね」

 意地悪いようでなく、本当に優しくそう言ってくださいました。

「姉……さん」

 まだ呆けた目で私を見る翡翠ちゃんに、私はうん、と頷きました。
 そうだよ、志貴さんに一緒に連れて行って貰えたの。
 そう心で伝えると、翡翠ちゃんは頬を赤らめながら嬉しそうに笑ってくれました。

「翡翠、最後までしよう」

 志貴さんは少し我慢できない、というように翡翠ちゃんの耳元で呼びかけました。

「はい……」

 恥ずかしがりながらこっくりと頷く翡翠ちゃんを横たえると、志貴さんが体を重ねようとしました。
 その志貴さんのそれは……やだ、凄い大きい……。
 あんな大きなものが、私の中に入っていたんだ……そう思うと、何故だか嬉しくてそこばかりに視線を投げかけてしまいます。
 志貴さんは私の視線に恥ずかしそうになると、翡翠ちゃんの脚を割って……と、そこで動きを止めました。

「翡翠……ちゃんと、見せてあげたいんだ。七夜さんに俺達がしているところ」
「志貴さま……?」

 志貴さまの言葉に、翡翠ちゃんが少しだけ分からないように答えました。
 私に……ちゃんと見せる?
 私も、その意味を掴みかねて疑問符を浮かべました。
 ですが志貴さんはすぐに行動をにしました。自分の体を動かすと翡翠ちゃんの腰に手を添え、翡翠ちゃんを起こしました。そのまま抱きかかえると体を横に向け……私の目の前に座るような格好で動きを止めました。
 それは、ちょうど私に全てが見えるように。志貴さまのペニスと、翡翠ちゃんの華が私の前にさらけ出されました。

「あ……こんな……」

 翡翠ちゃんは私に見られるような格好に、後ろを振り返って志貴さまに困惑の表情を投げかけます。志貴さんは少しだけお願いするように

「ごめん翡翠。でも、こうしたいんだ。七夜さんの為に……」

 私の為に……
 そうやって謝ってくれる志貴さんに涙が零れました。嬉しい……

「……わかりました」

 翡翠ちゃんは顔を赤らめながらそれでも決心したように強く頷いて、それから私を見ました。

「姉さん……見てください。今度は、私が志貴さまのものになるところ……」

 真剣な瞳。
 翡翠ちゃんの言葉が、強く胸に刺さります。
 今度は、見せて。私に二人の愛を。誰にも負けない愛を。

「うん」

 頷き、私は二人を見つめます。

「いくよ……」

 ゆっくり、浮かされていた翡翠ちゃんのそこへ、志貴さんのペニスが突き上げていきます。先端がゆっくりと翡翠ちゃんの中に沈み

「んんっ……」

 翡翠ちゃんが手をぎゅっと握りながらその挿入感にからだを強ばらせ、震えます。

「はあっ……」

 そうして、ゆっくりとゆっくりと、志貴さんの全てが翡翠ちゃんの中に収まりました。

「入ったよ……」

 志貴さんの言葉に、私も翡翠ちゃんもこくりと頷いてしまいました。

 ああ、凄い……あんなに嬉しそうに志貴さまを包み込んで……
 翡翠ちゃんの膣口を突き刺すような志貴さんのペニスが、物凄く淫靡に見えます。ひくりとわななく翡翠ちゃんの花弁が開かれて、男と女のいやらしい景色が私の体に稲妻の様に走り抜け、それだけでうっとりと融けてしまいそうになりました。

 そうしてゆっくりと、志貴さんが動きます。抜き出されるペニスに翡翠ちゃんの熱い液が混じり、そうして花びらが外に開くようにして志貴さまに弄られます。
 先端までもう少し、というところで今度は翡翠ちゃんの中に志貴さんが。吸い込むように志貴さんのペニスが翡翠ちゃんが受け入れるのを見つめると、私もされている時と同じように膣の中が蠢いてしまいました。

 腰がふらふらで、自分でもどうしたらいいのか分からない程に気持ちいいです。
 翡翠ちゃんのを見ている……そう思うだけでこんなに感じてしまうなんて、なんて私はいやらしいオンナなのでしょう。

「ん……んん……はぁ……志貴さま……こんな……あっ……!」

 翡翠ちゃんは激しく強い快感に驚いている様子です。
 恐らくした事のない体位で初めて貫かれて、そして私に交わっているまさにその部分を見られて、恥ずかしさが翡翠ちゃんを激しく混乱させて、同時に感じさせているのでしょう。

「ああ、翡翠の中、きゅうきゅうだよ。いつもよりいっぱい締め付けてくる」

 志貴さんもその効果を感じ取っているようで、嬉しそうに翡翠ちゃんの耳たぶを優しく噛み、舐めました。

「きゃあっぅ!」

 ビクンと、瞬間翡翠ちゃんが跳ね、下の方では更に志貴さんを締め付け、膣ではぎゅうぎゅうと搾り取っているのでしょう。
 ぐっ、ぐっと志貴さんの腰が動くたび、それに調和するかのような翡翠ちゃんの優しい腰のくねり。それは愛する二人の成せる一体感で、共に悦びと快感をいっぱい味わっているようでした。
 凄い……凄い。これが本当のセックスなのね。
 私は感動を覚え、美しすぎるその光景に自らの興奮を重ね、手遊びをまた始めてしまいました。

「七夜さん、寂しいでしょ……翡翠を、かわいがってあげて」

 すると、そうして見つめているうちに志貴さんが声を掛けてきました。

「えっ……?」

 私は突然のお誘いに、ふわふわりとしていた気持ちが急に驚きで戻されていきました。

「ほら……ここ、翡翠のここがかわいいでしょ」

 と、指を出して翡翠ちゃんのクリトリスを撫でます。

「ああっ! 志貴さま!?」

 その提案に同じく驚いて翡翠ちゃんが何か言おうとしましたが、志貴さまの指の動きに逆らえず、喘ぎを繰り返すだけになっていました。

「舐めてあげて……七夜さんが気持ちいいように、翡翠にも」

 そう言われて、私はあたまがぼうっとしてしまいました。
 私が気持ちいいように……私が自分のここを弄るように、翡翠ちゃんのクリトリスを……
 そう思うと、体が勝手に動きました。二人の前に近付き身をかがめると、そのまま翡翠ちゃんと志貴さんの股間に顔を近づけました。

「姉さん……!」

 翡翠ちゃんが哀願するような声が、私の耳には聞こえないほどにそこには……
 ……凄い……
 目の前にすると、より一層二人の結合がいやらしく見えて、更にむっとした熱さと性の香りが私の鼻腔から脳を狂わせました。
 自然に舌が伸び、二人の繋がっている部分を優しく舐めだしていました。

「はあっ! 姉さんっ……!」

 翡翠ちゃんが、大きく体を仰け反らせながら喘ぎました。私がぴちゃぴちゃと音を立ててクリトリスを舐めてあげる度に、翡翠ちゃんの体は跳ねるように動き、同時に腰は快感にわなないていました。

「そう、七夜さん上手だよ……もっと、悦ばしてあげて」

 そう言いながら、志貴さんの腰の動きが再開されました。

「ああっ! 志貴さま!!」
「ん……翡翠ちゃん、志貴さん……」

 その動きに翡翠ちゃんが翻弄されている間に、私も何度も何度も翡翠ちゃんを責めます。同時に志貴さんも悦ばせようと、翡翠ちゃんからはみ出る茎の部分に舌を這わせ、指では優しく志貴さんの陰嚢を触り、揉んでさしあげました。

「ああ……翡翠も七夜さんもいいよ。すごく気持ちいい……」

 そんな言葉が投げかけられると、私はより一層嬉しくなってしまいます。まるで褒められた子供のようにそれを一層続け、更にもう片方の手が翡翠ちゃんのクリトリスを剥き出しにさせて、そこへ直接舌を触れさせました。

「ああああっ! 駄目、駄目です、姉さ……ん!!」

 首を激しく振り、翡翠ちゃんが飛ばされそうになるのを必死で堪えています。
 何が駄目なの? こんなに気持ちよさそうにしているのに……
 私は純粋な気持ちで翡翠ちゃんに心を投げかけて、愛撫を続けました。

「あっ! あっ! ああっ! そんな……もうっ!!」

 驚きの表情を快感に滲ませながら、ぐうっと翡翠ちゃんの腰が収縮し志貴さんを締め付けていきます。
 きっと、いつもより早い到達に信じられないという感じなのかなと思ってしまいます。それは見られる羞恥と、志貴さんと私の二人の責めに、快感があっという間に訪れたからでしょうか。
 志貴さんも少し忙しないように腰が動き

「ああ翡翠……もう出すよ」

 同じように限界を告げていました。

「志貴さん、いっぱい、いっぱい出してあげてください。翡翠ちゃん……志貴さんをいっぱい受け止めてあげて……」

 私は二人に呼びかけそれを後押しするかのように口と指を動かしました。

「ああっ、志貴さま……!」
「翡翠……!」

 激しく二人は揺れ、声もうわずったものになっていきます。それに私も交わるようにして二人を責め、

「ああああああっ!!」
「くっ!!」

 大きな叫びと共に、遂に二人の動きが同時に止まりました。
 志貴さんが翡翠ちゃんの一番奥にペニスを差し込んで、どくどくっと精液を吐き出していました。脈打つペニスが沢山の白いものを翡翠ちゃんの膣の一番奥に出しているって分からせてくれます。。
 そうして翡翠ちゃんが志貴さんをいっぱいに締め付けて、それを嬉しそうに受け止めていました。強く閉じる様に華は収縮し、中でも同じように襞が志貴さんを一時も離さず志貴さんの精液を一滴も逃すまいと奥に導いているのでしょう。

 それは何よりもいやらしい光景。
 でも美しい光景。
 二人の愛が一つになって融けていると確信できるような光景でした。

 それを見ていると、私も嬉しくて……

「あああああ……」

 何もしていなかったのに、私は奥から沢山の蜜を零して達してしまいました。頭を二人の結合部にもたげるようにしてしまうと、まだ放出の収まらぬ志貴さんのペニスが、どくどくと音を立てて注いでいるようでした。

「ああ……」

 翡翠ちゃんはあまりの快感にか、気を失っていました。その体がゆっくりと志貴さんに寄りかかるようにして、志貴さんがその体を嬉しそうに抱き留めました。

「翡翠……よかったよ。七夜さん……」

 志貴さんは浅い呼吸になっている翡翠ちゃんにそっと声を掛けてあげた後、私の方を見ました。

「はい……ありがとうございます……」

 大変、嬉しかったです。嬉しくて嬉しくて嬉しくて……他に言葉ありませんでした。
 大粒の涙が私の瞳から零れました。それを拭うと、私は体を起こして翡翠ちゃんを見つめて

「翡翠ちゃんも、ありがとう……」

 たくさんのありがとうを込めて、口づけをしました。

 ゆっくり志貴さんは体を横たえベッドに横になり、翡翠ちゃんを自分の横に寝かせました。頭をしばらく撫でていらっしゃると、翡翠ちゃんが目を覚ましました。

「ん……」

 私達は優しくその顔を見つめると、翡翠ちゃんは全てを包むような優しい笑顔で

「私……とても嬉しかったです。姉さんに見て貰えて……こんなに嬉しい気持ちになったのは、初めてでした」

 そう言ってくれました。

「ああ、よく頑張ったよ、翡翠」
「うん、翡翠ちゃん、本当にありがとう」
「姉さん……志貴さま……」

 私達はそれぞれ言葉を述べ、見つめ合いました。ふっと笑顔が抜け、翡翠ちゃんがもう少し眠りたいような感じに見えました。激しくて疲れちゃったのかな。
 そう思ったら、私も……

「ご一緒に眠りましょう、志貴さん、翡翠ちゃん」

 と、私は布団を掛けてあげながら翡翠ちゃんとは志貴さまを挟んで反対側に横になり、そのまま志貴さんの胸に頭を置きました。
 さっきまでの汗と匂いがいっぱい残っている……
 それさえも愛しいものに感じられて、私は頬をすり寄せ……同じように翡翠ちゃんも体を寄せてきました。

「姉さん……」
「翡翠ちゃん……」

 私達は見つめ合って……手を繋ぎました。
 すると、視界がぼんやりとしてきました。安心して、眠くなってしまったようです。
 と、私達の頭に手が置かれました。志貴さんです。志貴さんが私達の頭をそれぞれ優しく包んでくださっていました。

「おやすみ、翡翠、七夜さん……」

 その声も遠く感じながら、私はゆっくりと瞼を閉じていきました。
 包まれる安心感、触れている安心感に、私は笑顔と涙を浮かべながらゆっくり意識を手放していきました。


 おやすみなさい、志貴さん、翡翠ちゃん。私の、いちばんだいすきなひと……