「七夜さん、いいかい?」

 志貴さまはベッドの上で、ゆっくりと姉さんの肩に手を乗せました。
 一瞬、姉さんは体をこわばらせ、そして……震えました。

「あっ……」

 姉さんは、それを必死で押さえようとしますが、止める事が出来ません。

「震えて……!?」

 その時、志貴さまも気付いたようでした。

「あの日……!」

 姉さんは震えながら笑うと、志貴さまを見ました。

「あはっ、それもばれちゃいましたね……」

 姉さんがそう言うと、志貴さまが突然姉さんを強く抱きました。

「あっ……」

 姉さんが声を上げますが、志貴さんは力を緩めようとはしません。

「ごめんね、七夜さん……キスして、あんなに苦しめちゃって……」

 そう言って、ただ抱きしめています。
 すると、姉さんの震えが、段々と収まってきました。

「志貴……さん」

 姉さんは力無く、志貴さまを見つめます。

「……うん、もう、大丈夫だね」

 そう言うと、にっこりと笑い、姉さんの頬に手を添えました。

「まだこんなに冷たい……大丈夫、俺が暖めてあげるよ」

 そう言って、志貴さまはゆっくりと姉さんに顔を近づけ……

 優しいキスをしました。

「あっ……」

 唇が離れた時、姉さんは驚いた表情のまま、固まっていました。
 そして……

 ぽろ、ぽろ……

 大粒の涙が、瞳から落ち、頬を伝っていきました、

「や……こんな……夢……みたい……」

 姉さんは、混乱した顔で志貴さまから目を逸らします。

「嬉……し……い……」

 姉さんは溢れる涙もぬぐえず、ただただ、笑っていました。
 それは、本当に、本当に、嬉しそうで
 ベッドの横に立ち、ふたりを見つめる私も、姉さんの夢が叶えられて本当に嬉しくなりました。

「七夜さん……」

 もう一度、志貴さまが顔を近づけました。

「んっ……」

 今度は、甘いキス。
 唇をゆっくり動かし、その柔らかさを味わっています。
 そして、今度は舌が姉さんの口の中に入っていきました。

「ん……ふうっ……」

 姉さんは志貴さまのされるがままに唇を奪われます。
 その姿がかわいらしく、愛おしいです。
 やがて、本能がそうさせるように姉さんも舌を絡めだしました。
 激しく、互いの唾液を啜るようにしています。

「七夜さん……」

 志貴さまは唇を離し、姉さんの着物を脱がそうとしました。

「あ……」

 一瞬躊躇いながらも、姉さんは素直に志貴さまに協力します。帯を外し、ゆっくりとその白い肌を露わにしていきました。

「はずかしい……」

 一糸まとわぬ姿になった姉さんは、身を縮め、弱々しく映りました。

「七夜さん、綺麗だよ……」

 志貴さんはその腕を取り、姉さんの全てを見ようとしました。

「あ……私だけじゃ、いや……です」

 そうして姉さんは、私たちを見ます。

「そっか……」

 志貴さまも、私も、まだ服を付けたままです。

「脱ごう……翡翠」
「はい」

 姉さんだけに、恥ずかしい思いはさせられません。
 姉さんが纏わぬのなら、私も従います。

 そうして、志貴さまも私も、生まれたままの姿になりました。

「翡翠……」

 志貴さまが、私もベッドに誘います。

「はい……」

 私は頷くと、姉さんの後ろに付きました。
 ちょうど、正面から膝枕をするよに、姉さんの頭を自分の膝に乗せました。

「翡翠……ちゃん?」

 姉さんは少しだけ不安そうに私を見つめます。

「大丈夫です。志貴さまは優しくしてくださいます」

 私は姉さんを見下ろし、笑顔で答えました。

 大丈夫です、姉さん。
 私は志貴さまを見つめ、それを確信していました。

 志貴さまは姉さんの胸に優しく触れ、ゆっくりとほぐすように揉み出しました。
 同時に舌先がちろちろと姉さんの乳首を弄び、舐め、それから尖ったそれに志貴さまは夢中で吸いつきました。

「ああっ……ああん……」

 甘く切ない声が、すぐに姉さんから聞こえました。
 ゆっくりと志貴さまの腕が動くたびに、姉さんは少しずつ声を大きくして喘いでいきます。

 目の前に、私と同じ顔で喜んでいる姉さんがいる。
 それがとても嬉しく、私も甘美な思いにされます。

 志貴さまの指がそっと、姉さんの秘処に近付きました。

「あっ……」

 ゆっくりとそれが入り口をなぞるだけで、姉さんが息を詰めるようにして震えます。
 そして

 ちゅぷ……

 姉さんの気持ちよさに比例するように溢れた愛液をかき分け、志貴さまの指が姉さんの中に入っていきました。

「七夜さん……気持ちいい?」

 指を優しく上下させながら、志貴さまが姉さんに訪ねます。

「気持ち……いいで……すっ……!」

 ちゅ……ちゅく……

 次第に大きくなる水音に、姉さんは体をくねらせ答えます。

「わかるよ……だって七夜さんのここ、もうこんなになってる……」

 そう言って志貴さまは意地悪く指を姉さんに見せつけた。

「いやぁ……」

 真っ赤になりながらも、それを凝視してしまう姉さん。
 私もそれを見つめ、ごくりとつばを飲む。

 濡れそぼり光る指は、姉さんの愛液によるもの。あまりに綺麗なそれを思わず私が舐めてしまいたいところでした。

 しかし、志貴さまはそんな私を見つめ、私にも意地悪く目の前でそれを舐めてしまいます。

「翡翠?」

 わざとらしく言うと、志貴さまはにこにこと笑います。

「……今は、姉さんにしてあげてください」

 私は、そう言って注意を姉さんに向けさせました。

「わかった……七夜さん」

 志貴さまが姉さんのそこに顔を近づけます。
 ぺろりと、その中心で息づく花びらを丁寧になぞりました。
 こちらからでは、姉さんの花弁を啜る志貴さまの舌の動きが、酷く艶めかしく官能的に映りました。
 志貴さまがじゅるる、と音を立て姉さんの愛液を吸い取ると

「ああっ……気持ちいい……です」

 姉さんは志貴さまの舌と指の動きに翻弄され、何度も軽く達していました。
 その度に姉さんの奥から溢れる雫が、シーツを濡らしていきます。

「七夜さん……」

 志貴さんが、そんな姉さんの反応に我慢できないと言うように、ぐっと腰を掴みました。
 いよいよ、その時が訪れようとしていました。

 その時、


「志貴さん……私、初めてだから……」