「あっ…」

声は実は同時にあがっていた。片方は先輩がそのことに気付いて驚いた声。もうひとつは…

「先輩…」
「いやっ、言わないで下さい」
「もう、こんなに濡れてるんだ…下着の上からなのに」

そう言うと、俺はショーツの股間の部分にあてがっていた手を抜く。
そこには布地を通してもなお染み出ている、先輩の愛液が光っていた。軽く押さえただけで、スポンジから水が出る如く、いつもの倍はあるのではないかという量だった。
「先輩、いつもより感じてるね…そんなに期待してるんだ」
「はい…」
消え入りそうな声で先輩が頷く。その姿が怒られた子供みたいでかわいいから、ちょっといじめたくなる。
「もうエッチだなぁ、先輩は」
そう言うと人差し指の爪で、少し上…既にそこが布地の上から解るほどに隆起しているクリトリスを軽く引っ掻く。
「あ!あああっ!」
ビクビクッと大きく震える先輩。布地に新たに大きく染みの広がる感触。

あれ…?

「もしかして、イッちゃった?」
その染みをなぞってスカートの中から抜き出した指を、ぼーっとしている先輩の前にかざして、わざと見せつける。
「…」
惚けながらも、恥ずかしさで目をそらす先輩。完全に横を向いちゃってる。

チュッ

その愛液をわざと音を立てて口に運ぶ。気のせいか甘い味がするようだった。
先輩がビックリと恥ずかしいの中間の顔でこちらを見てきたから
「でも、エッチな先輩、俺大好きだよ」
にっこりと笑いかけて、そのまま先輩のショーツを脚から抜き取り、人差し指を割れ目にあてがう。
「ああ…っ!」
先輩の声と共に、指は何の躊躇いもなく飲み込まれていく。
先輩の中は指1本だけなのに窮屈で、それさえも締め付けようとする収縮が感じられる。その貪欲な動きに誘われ、中指を合わせて射し込む。
そのまま、リズミカルに抜き差しすると

「あっ、あっ…ん」

動きに合わせて、先輩の体と声が上下する。
クチュクチュと、先輩の愛液と俺の指とで鳴らす音が、俺の僅かに残った余裕も奪い取ろうとしている。
2本の指に、更に薬指も合わせる。
さらに余った親指の腹で、卑猥に息づく秘裂の頂点にある小さなクリトリスを優しくこねる。
「…っ…!…あっ!!」
俺の愛撫に先輩の声が途絶え途絶えのものになる。既に息も苦しいほどに喘いでいる。
このままもう一度イカせても良かったけど、正直こっちが限界だった。

「先輩…行くよ」
確かめるまでもない。確かめる余裕もほとんど無かった。
俺はせわしなくジッパーを下ろし、もう痛いくらいに立ち上がっているそれを引きずり出すようにした。俺の方も今までにない興奮で、先輩と初めて結ばれたときよりも勃起しているようだった。
「来て…来て…」
その始終を、顔だけ何とかあげるようにしていた先輩が、うなされるように呟く。
その手が、俺を導くように秘裂を拡げる。ニチャリと、その間から流れ出る粘液がシーツを汚す。
その目が、これから起こるであろう光景に向けて淫靡に光っている。

雌の目。

その目に、俺の雄の血も、七夜の血も、有るはずのない遠野の血も、無くなったはずのロアの血までもが沸騰しきってしまったようだ。

俺は覆い被さるように、先輩に文字通り飛びかかった。最後に
「今日は、先輩にぶっ壊されちゃいました。だから手加減しません、責任取ってくださいね」
言うが早いか、入れる場所を探していた自分の欲望の塊を、先輩の膣に突き入れた。

「ああっ!」
入れただけで物凄い収縮が起こる。
只の収縮じゃない、先輩は入れただけでイッたんだ。
更に内部から溢れてくるような新たな奔流。そして搾り取るような、内部へ向かう断続的な収縮。本能の見せる動き。
「くうっ…先輩の膣、いつもより凄い…」
俺も収縮に負けて射精してしまいたかったが、早漏だなんて思われたくないし、まだまだ先輩のこの素晴らしい感度の膣を楽しみたいから、奥歯を合わせて我慢した。
「あん!ああっん!!」
先輩はまだ波に飲まれてる。
収縮はきついが、だんだん収まってきたようだ。ここを耐えれば、少しの余裕が生まれる。

「先輩…」
俺は繋がったまま、汗で顔に張り付いた髪を払うように先輩の頬に手を当てる。
焦点の合ってない目で俺を見つめてる先輩、未だ心ここにあらず、と言った感じか。
「ああ…ああ…遠野君…」
体全体を近付けていくと、彷徨っていた先輩の手が俺の背中にしがみつく。
唇を重ねていくと、驚くべき速さで舌が俺に絡み付いてきた。下だけでなく、上での繋がりも求めるように。
まるで快感の渦から藁をも掴むが如く、意識を絞り出すようにその舌が蠢く。
「んふっ…ううん」
合わせた口から先輩のくぐもった声が聞こえる。まるで無心、そんな感じさえもした。

俺もその行為に答えつつ、余裕の出来た下半身の動きを再開した。少しずつ抜き出すように腰を引き、そしてまた同じように挿入する。
「ああっ!」
途端に唇を離して先輩が喘ぎ出す。
ひと突きひと突き、確実に先輩の膣を埋めるように送り込む。
そのたびに先輩は叫び、背中に置いた手に力が入る。
「もっと…もっと…」
そんな余裕はないだろうに、それでも先輩が俺を求めてくる。
主導権を握っている余裕から、それに答えるように腰の動きを早める。
同じ動きでも速度が速まれば快感も早いリズムで訪れる。それはこちらにも同じだが、今はとにかく我慢した奥歯が砕けそうな程噛む。

その所為もあってか
「ああああーーっ!!」
先輩の声が一際大きいものに変わる。もはや悲鳴だ。
「凄いです…遠野…く…ん!!」
息ができてないのか、最後は掠れ声になった先輩の声。
一瞬動きを緩め、呼吸のタイミングを与えるとすぐに激しい前後運動を繰り返す。
もうそろそろ俺も焼き切れそうだった。
テクニックなんて必要としない。とにかく穴を穿つかのように、突きまくる。
「あ、あ、ダメです…遠…の…く…」
先輩の体が強ばる。
俺の背中に回されている腕は背中を掴み、爪を立てて俺の背中に紅い筋を作り出す。
内部の収縮が一つの合図になった。
「先輩、イクんだね?」
先輩は答えない。答えられないのはイク証拠だ。
俺は自分も少しずつ解放するように
「膣にいっぱい出すから、全部受け止めてよね」
そう言うと、最後に向けて突っ走る。
「はい…来て…ください…」
先輩がかろうじて答えたが、それが最後だった。
同時に俺が先輩の最深部目掛けて楔を打ち込む。
「あっ、イク!イッちゃいます…遠野君」
叫びを上げ、先輩が硬直する。
合わせて、今までにない収縮が膣を動かし、俺の最後の一線をブチ切る。

「ああーっ!」
先輩のの断末魔が、合図となった。

ドクンッ!ビュクンッ!!

我慢に我慢していた全ての奔流が、先輩の膣に注がれる。
それはもはや液体ではなく、コロイドの様なマグマ。灼熱の先輩の膣を埋めるように、更に熱い迸りが、何度も何度も先輩に注がれていた。
放出の勢いは止まらなかった。先輩の膣の収縮に合わせ、まるで全てを吸い取られるように射精していた。
本能的に先輩の奧に送り込もうと、下半身を摺り合わせる。それが更に先輩の快感を呼んだのか
「あ…また…イク…っん!」
先輩が困惑しながらもまた達する。
一度深みから抜け出そうとしていたところで更に引きずり込まれて、余裕が無くなっていた。
「あっ!あっ!あーーーーーーーーーーー!」
何か事切れるような叫びを上げ、先輩は沈み込んだ。
その間も放出し、自分でもどれだけ出したのかワカラナクなった。

どれくらいたったのだろう。ずるり、と先輩の膣から未だに萎縮しないペニスを抜き出す。
同時に、ごぼり、と音を立てるように、俺の精液がほとんどと、わずかに先輩の愛液の混ざった白濁の液体が膣から流れ出る。
俺もほとんど放心状態だった。これほど繋がりを感じ、気持ちのいい交わりがあるなんて思わなかった。
呆けた目に、目の前で意識を失っている先輩が映った。
「…ふふっ、あはは」
俺は微かに、そして確実に笑い出した。
「中に出してください…か。言った本人がもうこれじゃあなぁ…」
今回の主役は只今浅い呼吸に変わっている。あれだけ激しくても、寝顔は純真でまた可愛いのがいい。
「先輩、まだまだですよ。これからが夜なんですから」
このまま続けたかったけど、先輩が起きるまで待とう。
俺は先輩の横に寝転がり、布団を掛けて頭を腕の上に置いた。そうして、余った手で先輩の頭を撫でながら、その寝顔に見入る事にした。