幕間――会話

「……ね、セイバー」
「？　何ですか、いきなり」
　士郎が買い物に出かけてしばらくして。
　凛は居間でイチゴ大福を口にしようとしていたセイバーについと詰め寄ると、二人きりだというのに囁き声で話しかけた。
「あの、ね。士郎と……」
「？」
　一旦そこで言葉を止める凛の頬は、何故か赤く染まっている。
「……士郎とするときって、どんな感じ？」
「……え？」
　あまりにも唐突な質問に、思わずぽろっと口から大福がこぼれる。
　が、何とかあっけにとられたのを持ち直すと、
「……気持ちいいです」
　気恥ずかしそうに答えていた。
「ふうん……じゃあ例えば、膣に出された時とかは？」
「！」
　興味深そうに具体例を挙げる凛に、セイバーはちょっと慌てつつも、
「そうですね――シロウがわたしの膣で広がって、ああ、わたし、シロウに抱かれたんだ――と嬉しく思います」
　思い出してしまうと何だかどきどきしてしまうが、胸に手を当ててなんとかそれを抑えて誠実に答えた。
「うーん……やっぱりそんな感じなのね」
　期待とは離れた返答に、しかし凛は軽く首を捻る。
「何か言われたのですか？」
「ううん、そうじゃないけど……ほら、わたし達って士郎しか知らない訳でしょ？　だから情報は共有した方が良いと思って」
「――成る程、そうでしたか」
　セイバーもそれで意味を解し、二人はそれからしばらくの間語り合った。士郎は胸を触る時は、右利きだから左胸から触る癖があるだとか、脚を抱える時は必ず右足だとか、何も言わない時は感じてきている証拠だとか――それこそ士郎本人が聞いたら卒倒しそうな話題が女同士の気軽さからかぽんぽんと飛び出し、その度に互いに納得し合っていた。

　しかし――
「うーん……」
　凛が困ったような声を上げる。
　自分たちの経験を相手に伝えるとなると、どうも精神論に陥りがちだった。
「他にどう言いようもないし……」
「困りましたね……」
　気持ちいいというのが強いから、あまりはっきりと表現出来ない、まさにそんな感じで、元々そういう語彙に乏しいのも手伝って選びあぐねていた。
　と、そこで凛が何かを思いついていた。
「ねえ――モノは相談なんだけど」
「はあ……」
「――今日、三人でしてみない？」
「え――」
　再び、今度もまたイチゴ大福が落下していた。
「ダメ？」
　凛も流石にこれは突拍子もない発言だと分かっているだけに確認を取るが、
「――構いません、凛のお願いとあっては」
「よかった――」
　セイバーが以外にあっさりと同意してくれたことに、安堵の息を漏らしていた。
「あのね、百聞は一見に如かず、ってことわざが日本にはあるんだけど」
「知ってますが……」
「う……まあとにかく、そういうことなの」
　つまり互いの反応を見てみよう、ということだったのだ。
「しかし、シロウにはどう説明します？」
「うーん……あいつが普通にこの状況を受け入れたら、それはそれでイヤね……」
　凛は何か名案はないものかと悩んだ末、
「――そうだ」
　ポンと手を打っていた。

「効率化よ」