/瀬尾 晶


「あのー、志貴さん?」
「ん?あれ、アキラちゃん?」
 放課後、体育着姿のシエル先輩に欲情して一戦終えた後、俺は何となく繁華街をぶらついてみた。すると声をかけられたのだった。それも意外な人物に。
「どうしたの、こんな所で?」
 浅上の制服を居てそこにいるアキラちゃんは、物凄く場違いできょろきょろと見慣れぬ町を見渡していた。それはまるで迷い犬のようでかわいい。

「実は……」
 アキラちゃんはそう言うと俯く。俺が顔を近づけると、その耳に口を添えてきて、ヒソヒソ声で
「未来視が……見えたんです。志貴さんに抱かれている未来視が……」
 そう言うと真っ赤になって町の真ん中で倒れそうになる。
「ア、アキラちゃん」
 俺が支えてあげると、触れられただけで
「あんっ……」
 小声を出していた。
「あ……」
 気づき、改めて恥ずかしがるアキラちゃん。

 アキラちゃんの未来視は1日後の未来を見る。だからこうして未来視を見た翌日には俺に会いに来るのだ。
 その未来視を現実にする為に。

「アキラちゃん、あそこ行こう?」
「えっ……はい。」
 流石に学生服のふたりがホテルはマズイし、今日は通いごとが無く秋葉の居る我が家も少しマズイ。
 目に入った悪くない場所に、俺はアキラちゃんとふたりで向かった。

「んっ……」
 薄暗い個室、程良く聞いた空調は、実はこのために作られたのでは?と思える程だった。
 外から見えない位置で、俺はアキラちゃんを腰に抱いて、体を揺らしてた。
「あっ!!志貴さん!!」
 アキラちゃんは一際大きな声で喘ぐが、それが全く気にならないこの環境は罪だなと、俺は苦笑したのだった。

 ここは、カラオケボックスなワケで。

 2時間フリーの歌い放題、俺の雀の涙の小遣いでも何とかなるそれは、ふたりの逢瀬に丁度適した環境だった。

「アキラちゃん、ゴメンね。こんな所で……」
 正直、アキラちゃんに対する罪悪感もあり、俺は謝るが、アキラちゃんは嬉しそうに首を振ると俺に笑いかける。

「いいんです、私からお願いしてるんですから……それに、未来視でもここだったから……」
 アキラちゃんの微笑みに俺の毒気は抜かれ、健気に捧げてくれる彼女への愛おしさが溢れてきた。
 そのまま腰をぐっと掴むと、少し乱暴だけど腰を上下させる。

「あっ!ああっ!!志貴さん!!」
 アキラちゃんのまだ未発達の膣は、俺を受け入れるのもやっとの如く、強く俺を締め付けてくる。
 にゅくにゅく、というよりぎゅーっと絞るようなそれは、言い表せない刺激となってふたりを包み込む。
 それを引き出そうと激しく擦るそれに、アキラちゃんは既に何度かエクスタシーを感じていた。

「あっ!また……来ますっ!!」
 更に何度目かの貫きの後、また遠くに飛ばされそうになり、アキラちゃんは俺の首にしがみつくと、耐えられなくなってガクガクと体を震わせた。

「あっ!イッちゃいます!!……あ……」
 アキラちゃんが跳びそうになった瞬間、目を見開いた。しかしその瞳は焦点が失われていて、きっと未来視を見ているに違いないと思った。
 だが、そんなアキラちゃんの脳とは別の、第一次欲求に忠実な本能が正直に膣を収縮させてきたから、俺もそれに合わせて射精した。

 ドクドクドク……

 まだ酷く子供の体つきをしたアキラちゃんの中に、したたかに注ぐ背徳感。それが俺を何倍も興奮させているのは正直なところだった。
「ああ……志貴さんのが……熱いです」
 アキラちゃんはその体で俺の精液を受け取る。
 それでも膣だけはきゅうきゅうと締め付け、女であるそれを実感させていたが、そのギャップがまたたまらなかった。


「あ、はい、もうすぐ出ます」
 あれから、残った時間はいつもこうして普通にカラオケに費やす。アキラちゃんが歌い終わる頃、丁度フロントから電話がかかってきた。
「じゃぁ、そろそろですか?」
 アキラちゃんがマイクを片づけて帰り支度を始めると、俺はふとさっきのことを思い出した。

「アキラちゃん……未来視、見てたよね?」
 その言葉に、アキラちゃんの動きが止まった。

「……はい」
 恥ずかしそうに、ゆっくり通れに振り返って頷く。
「私、志貴さんに……抱かれていました」
 そう言うと、アキラちゃんは俺に体を預けてきた。
「そっか……」
 俺はアキラちゃんの頭を撫でながら、ふと考えてしまった。

 未来視は、アキラちゃんにとってどうなんだろう。
 正直、毎日こんな物を見せられて辛いのかも知れない。

 ……と
「私、嬉しいですよ」
 それを見透かすようにアキラちゃん。
「こうして、志貴さんに抱かれる事が現実に叶えられるんですから」
 きっと、無理している。未来視に苦しめられているのかも知れない。
 気丈に振る舞うそんなアキラちゃんが愛しくて、俺は自然に唇をアキラちゃんに触れさせていた。


「それじゃ、ここでいいです」
 繁華街の途中で、寂しくなるからとアキラちゃんは俺を帰した。
「うん、じゃぁ、また明日……」
 俺が何の気なしにそう言うと、アキラちゃんは真っ赤になってしまった。
「はい……それでは、今日はありがとうございました!」
 たったったと掛けていくアキラちゃんは、やっぱりまだ幼くて。
 俺はそんな彼女に夢中になっている自分を少しからかいながら、町を屋敷の方向に歩いた。

「……お」
 道すがら、俺はとある看板にピンと来た。
「丁度良いな、ここはひとつ……」
 俺は上着だけ隠すと、その店に入っていった。