ぴちゃり、ぴちゃ……

「く……ぁ……」

 目の前に、信じがたい光景が広がっていた。
 俺のモノに絡み付く、四つの細い手。そして、二つの舌。
 二人が顔を寄せて、俺を愛おしげに舐めていた。

「アルクェイド……翡翠……」
 俺は呻く。
「む……ん……気持ちいい?」
「はぁ……」
 二人はその声に気付かぬように続けていた。
 
 ベッドに脚を伸ばす俺の下半身に跪くような二つの姿。
 それがメイドで、更にその内の一人はお姫様だなんて状況が、異常すぎる。それに先程の「ご主人様」の響き……もう、完全にやられていた。

「二人とも、もっと強く……」
 と、二人の頭に手を置いて刺激を強要する。
 アルクェイドは、ふと顔を上げて俺を見ると、目が合う。
「あー、志貴。ダメだよ目隠し取っちゃ」
 ここに来てまだそんな事を言う。
「くっ……二人同時じゃ、どっちか分からないからさ」
 そう話す間にも、翡翠の愛撫は止まらない。先程よりも少し大胆に竿を刺激し、先端を舐めている。自らも興奮しているような潤みの目。
「ふふっ、翡翠もノってきたみたいね」
 言われて翡翠は恥ずかしがりながらも献身的に続ける。その姿がえらく扇情的だ。
「ふ……志……貴さま……」
 それを俺自身に見立てるように、翡翠は呟きながらぴちゃりと舌を這わせる。

「翡翠ばっかりじゃないわよ、志貴。私も……」
 と、それを見ていたアルクェイドがいやらしくこちらを見る。そして後ろ手に回してエプロンをほどき、メイド服の前をはだける。
 ブラをしていない胸がそのまま目に飛び込む。
「へっへ〜」
 と悪戯っぽく呟くと、また俺の足下に伏す。そしてその大きな胸で俺のモノを挟み込んだ。そのままこすり合わせるように動き出す。
 二人の唾と、俺の先走りとで濡れていたシャフトは、なめらかにその動きを享受する。先程の舌での感覚と違い、全体を遅う面の刺激。
「くっ……アルクェイド、良すぎだぞ……」
 と、その光景に目を奪われる。翡翠はそれをただ眺めていたが
「ほら翡翠、続けて……」
「は、はい……」
 と、アルクェイドが舌を這わせるその先端に近づき、愛撫を再開した。

 アルクェイドの胸に挟まれ、二人の舌が更に先端を刺激する。翡翠はパイズリなんてしなかったし、出来たかも怪しかったから言わなかった。
 けど、この感触は強烈だ。全体を口に含まれるよりも、複雑に入り乱れた快感が俺を高めていった。

「ん……志貴、凄いよ……」
 乳首が先端の刺激に加わる。それに自らも感じているアルクェイドが更に激しく胸を挟み込む。
「はぁ、はぁ……志貴さま」
 さらに面前の状況に興奮して、誘われるように動きが大胆になっていく翡翠。
 その二人の嬌声が艶っぽく、吐息までもが熱く俺を包む。
 それはもう夢心地で、あまりにもおかしかったから、限界だった。

「くっ……ふたりとも、出すよ」
 俺は、そう呻くのがやっとだった。そのまま、耐えられなかった欲望を放出してしまう。

 ドクン

「きゃっ!」
「あっ……」
 ビクビクと先端から吹き出す精液が、ふたりの顔を汚す。一部はアルクェイドの胸の谷間にも液溜まりを作る。
「ふふっ……かわい〜」
 と、放出の終わった俺のペニスの先端から吸い取るようにアルクェイドが精液を舐め取る。
「ほら翡翠、志貴のだよ……」
 と、アルクェイドは肉棒を抜き取ったその乳房を翡翠に差し出す。
「はい……」
 翡翠は、その乳房にかかった白濁液を舐め取る。そのおしとやかな舌が、俺の目の前でアルクェイドの豊かな乳房を蹂躙する。
「あ……翡翠、気持ちいい」
 アルクェイドはその舌の動きに嬌声を上げる。そのまま翡翠は全てを舐め取ると、まだ足りないらしく
「アルクェイドさま……お顔が」
 そう言って、アルクェイドの顔にもかかっている迸りの残りをも舐め出す。
「ん……翡翠も」
 と、アルクェイドも舌を出して互いの顔をぴちゃぴちゃと舐め合う。
 
 その姿は、俺の与えた餌を貪る姿。
 あまりに淫靡で、見ているこちらがぞくりとする。
 そして、俺一人置いてきぼりにされるのが悔しかった。
 ナニカが、俺の中で爆ぜる。

「アルクェイド、翡翠」
 俺は無意識にそう叫ぶと、二人に向き
「まだまだ、全然足りない」
 そう呟いた。
「うん……私も、もっとして欲しいよ」
「私も……です」
 二人は赤くなりながらも艶のある目で訴えてくる。
 そうなれば話は早い。
「志貴……ご主人様、どちらから御正味なされますか?」
 と、恭しいような妖しいような言葉遣いでアルクェイドが訪ねる。
「そうだな……」
 選べない。どちらからでもいい。というよりも、どちらも一度に味わいたかった。
「ああ。じゃぁ二人とも、そこに重なって」

「やだ……恥ずかしいよ、志貴」
 アルクェイドがもじもじとしながら俺を振り返って見る
「志貴さまの……変態……」
 そう言いながらも翡翠も頬を赤らめ、俺の方を覗き込んでいる。
「折角二人もメイドがいるんだから、こうしないと損かと思ってな」
 俺は二人の姿を眺めながら、ニヤニヤとする。

 折り重なるふたつの体。
 下には翡翠、上にはアルクェイド。
 それぞれスカートをたくし上げ、その下半身を晒す格好にさせた。目に映る2組の脚と、2枚の純白の下着が艶めかしい。
「へへっ、いやらしいなぁアルクェイドは」
 と、まずはアルクェイドのパンティの中心に右手を当てる。そこは既にぐっしょりと濡れ、俺を迎え入れたがっていた。
「俺の銜えて、こんなにびしょびしょに濡らしてたのか」
 そう言って、ぐりぐりとそこを撫で回す。
「いや、言わないで……」
 主従関係の言葉責めに、アルクェイドは惑いながら感じている。
「はぁ、あはっ!」
 更に奧から液が溢れ、俺の手をもそれでまとわりつかせる。

「おや……翡翠」
「ひっ……」
 俺は、ふと目をやった翡翠の下着にあるモノがあるのを気付く。合わせ目の部分に、うっすらと液体のシミ。
「お前まで濡らしてるのか、エッチになったなぁ……」
「……」
 翡翠は顔を真っ赤にして抗弁しない。残った左手でその部分を撫でる。
「ああ……っ、志貴さま……っ!」
 アルクェイドの服の袖を掴み、翡翠が快感に打ち震える。同時にふたりの秘部を愛撫し、俺も十分勢いを取り戻していた。
「じゃぁ、そのエッチな所を直に……」
 と、二人分のパンティをぽいぽいと剥ぐ。
 
 僅かに形の違う秘部。
 よく女性同士がこすり合わせる事を「貝合わせ」とかいうが、それに習うならばここには貝がふたつ。
 本来貝殻は二枚貝ならば模様は対称なのだ。が、そこには一枚貝がふたつ。
 いずれもヒクついていて、男を迎え入れたがっているようだった。

「もう、俺も我慢できないよ……」
 その光景にクラクラきながら、アルクェイドの腰を優しく翡翠のそれに密着させる。

「ん……志貴……早く」
 と、アルクェイドが懇願する。その目は本当に物欲しそうで、ここばかりは引けないようだった。
「へへっ。じゃぁ、エッチなメイドさんから可愛がってあげるよ」
 と、お言葉に応えて後ろからアルクェイドを貫いた。
「ああっ!」
 ぐじゅうと、愛液の溢れる音と共にペニスが埋没する。奧まで達すると小刻みに揺り動かす。
「あっ、あっ、あっ、あん!」
 リズミカルに小気味よくアルクェイドが喘ぐ。それに合わせるように膣が収縮し、こちらもそれに呼応するように打ち付け続けた。

「……ん?」
 ふと、喘ぐアルクェイドの視界の向こうに、満たされぬ表情の翡翠。目の前のアルクェイドの痴態を見つめながら、俺に非難の目を送る。
「ああ、忘れてた訳じゃないぞ。今度はお前も……だ」
 と、心地よい締め付けのアルクェイドの膣から肉棒を抜き取ると、そのまま翡翠の膣に沈める。
「あっ……!」
 控えめだが、快感に打ち震える翡翠。そのまま今度はゆっくりと抽挿を開始する。先程と違う膣の感覚も相まって、別の快感がまた心地よい。
「ん……志……貴さま……いいです……!」
 と、搾り取るような声で翡翠がベッドに沈み込む。腰を擦り上げるようにして俺と密着しようとする。

「や……志貴……私も……やめないで」
 アルクェイドは泣きそうな顔で俺に請う。流石にモノは2本無いから
「ああ、順番にしてやるから」
 と、代わりに指を3本そろえてその淫らな口に差し込む。
「あっ!いきなり……!」
 それでもするりと飲み込んで、掻き回されるといやらしく腰も膣も蠢く。

 そうして、二人を貫き続ける。
 片方に挿せば、もう片方には指で休みを与えない。片方ばかり気持ちよいのはお互いに失礼だ。

 そのうち、誰も自分が今どこに挿し、何に貫かれているのかが分からなくなってきた。
 ただ激しくその入り口を先端が認めると突き、両手はぐちゃぐちゃになって同じように這い回る。
 先約がいるならばその上部のクリトリスを、2本の指で摘むように探し当て、腹でくりくりとこねてやる。
 
「ああっ……!ダメ!!」
 アルクェイドがそのふたつの攻撃に陥落し、俺のペニスを包んだまま収縮し潮を吹く。蠕動運動のその先、ぴゅ、ぴゅっと、先端に勢いよくそれが当たる感触。それでも俺は止めずに突き続けた。
「あっ……あ……」
 息も切れ切れになり、口をぱくぱくとさせるアルクェイド。そして、力つきるようにぐったりしたところでそれを抜き取る。

 そのままアルクェイドがしがみついて息を荒げている対象……
「翡翠……」
「ひっ!志貴さま……!」
 そちらの方に差し替え、同じようにしてやる。今は空いた両手を駆使して、めちゃめちゃにいじってやった。
「い……イ……っちゃいます……」
 と、控えめにも淫らな言葉。今度は翡翠が同じように収縮をする。こちらはぎゅーっと俺を圧縮して搾り取ろうとする。そこを何とか抑え、収まったところで一度ペニスを抜き出す。
 
「はぁ……はぁ……」
 俺もかなり動いて、そろそろ最後を感じる。最後は……
「ほら、二人ともくっついて」
 いつの間にか離れていたふたりのそれを、俺は優しく合わせる。
「あ……うん」
「は、はい……」
 息も絶え絶えのふたりのその合わさった部分、距離を置かずしてふたつの淫らな花。その花を一瞬でも眺めた瞬間に、俺は最後の理性を飛ばした。
 そのまま、ふたりの間にペニスを滑り込ませる。同時に、両の手をそれぞれの膣に突き刺す。
「あっ!」
「んっ!」
 ふたりの甘い声のハーモニーが、狭い部屋に響き渡る。
 指で膣壁をいじり、その合わせた部分を擦り、ぐりぐりとふたりの淫核を刺激し続ける。
 今までのふたりの愛液でそこはどろどろに溶け、沸騰しそうな熱い体温で本当に膣に入れているような感じ。
 更に俺のペニスに擦りつけるようなふたりの腰の動きが膣の収縮に似て、いやそれ以上に俺を高めていった。

「くっ……出すぜ、ふたりとも受け止めろよ……っ!」
 ギリギリと奥歯を噛み、爆発をこらえながら最後のスパートに突き進む。
 両手を抜き、ふたり分の腰を掴みながら火が出そうなほどの速さでピストン運動をする。
「やっ……私も……またイっちゃう!!」
「志貴さま!わたしも……志貴さま!!」
 ふたりは抱きあい、お互いの快感を共有するように震える。そして一際抱き合う力が強くなったと思うと

「「あ、ああっー!」」
 硬直した。同時にペニスをぎゅうと挟むその強い感覚に、俺の最後の抵抗もうち砕かれた。

 ビクリ!ドクリ!ドクン!!

 そのふたりの間に、思い切り精液をぶちまけていた。波打つような誰ともつかぬ結合部の動きに、アルクェイドも、翡翠も、そして俺までもが気をやる。
 そのまま、折り重なるようにしてアルクェイドの背中に倒れ込む。
「くっ……」
 気を失う瞬間、翡翠に体重がかからないように体をずらし、ベッドの隅に転がるようにする。そのまま、疲れからか貧血からか、一気に暗転した。

 夢。
 
「もうっ、志貴の変態!」
「志貴さま、私たちを玩んで許せません」
 何故、崖?
「志貴なんて……」
「死刑です!」
 と、突き落とされる俺。
「なんでだぁぁぁ!」

 ドスン!

「い……てててて……」
 と、夢から一気に覚醒する
「あ……」
 気付けば、俺はベッドから転がり落ちていた。
 というか、このベッドに3人はちょっと窮屈で、一番端にいた俺が落とされた結果だった。
「ったく……メイドはご主人様をベッドから落としたりしないぞ。もうちょっと優しくしろよな……」
 と、ひとりごちながらベッドの上のふたりを見た。

「……」

 ふたりは、先程までのあんなに淫靡な姿とはうって変わって、安らかな寝顔を見せていた。まるで、というかその言葉通り少女のように。
 ふたりは手を繋ぎ、にっこりと微笑みながらすうすうと寝息を立てている。そんな姿を見ていたら怒る気もどこかへ吹き飛んでしまった。
「まぁ……ヨシとするか……」
 と、自らの頭をぽりぽり掻きながら俺は立ち上がった。少しクラリとするが、シャツとズボンを付け、風呂場に向かう。

「さってと、寝場所はどうしようかな……秋葉や琥珀さんの所に厄介になってもいいけど、相手してくれなんて言われたらちょっと困るしな……翡翠やアルクェイドの部屋だと女の子の部屋に忍び込むみたいで悪いし、かといって床で寝るのもなんか許せないからなぁ……」
 ぐるぐると思慮を巡らせ、俺は今晩の寝床を探す。
「ま、たまには離れで寝てみるかな。久しぶりの畳も恋しいし、朝起きた時二人が探すのも面白そうだしな」
 そう近い未来を想像し笑って、ふと、部屋を出ようとして振り返る。
 メイドに専有されたご主人様のベッドには、二つの花。
 時に華麗に、時に淫靡に。
 1つに形容できないその花が、今はしとやかな月見草に見える。

「おやすみ、可愛いメイド達……」
 俺はひらひらと手を振ると、音を立てないようにドアを閉めた。


〜後書き〜



 「俺的、タナトスの花」ということで、メイドアルクに軽くKOさせられたので書いてみた次第です。ちなみにタナトスの対極にある言葉はエロスです。そんな欲望渦巻く作品です。

 単にそれだけだとありきたりの展開だから、単体では僕の中で動いてくれない翡翠を引っ張り出して参加させてみました。
 ちょっとだけ触れてますが、この作品の志貴は遠野家全員味見済みです。槙久の事言えないじゃんか、志貴(笑