なんて――酷い、夜
この作品は、Moongazer様で行われた「固定シチュ大会・第1弾」の大崎瑞香さんの作品「なんて――酷い」の続きです。まずはそちらをお読みになってからお楽しみ頂けたら幸いです。
静まる学園。 そんな無人の廃墟に――姿がひとつ。 スッ…… 無音にも近いそんな扉を開く音も、この静寂には喧騒である。 「瀬尾……」 扉をすり抜けるようにして入ってきた人物は、自分に背を向けている姿に呼びかける。 「先輩、早かったですね。まだ約束には30分もありますよ」 椅子から立ち上がり、名残惜しそうに月を一瞥して、その姿……晶は振り返った。 「だって……」 秋葉が続けようとする言葉を 「でもいいですよ。先輩がそんなに私と一緒にいたいと思ってれるのなら、嬉しいです」 制するように晶が微笑んだ。 「瀬尾……」 その言葉だけで、秋葉の中で何かが渦巻く。 「ほら、今日はこんなに月が綺麗ですよ、先輩」 と、両手を広げて晶が背後の月に包まれる。 「だから……先輩」 と、両手を下ろした晶が声をかける。 「今夜は朝まで楽しみましょう……ね」 その一言で、秋葉の中のオンナは一気に目覚めた。 「……あぁ……」 躰の奥から沸き出す熱いうねりが、どうしようもなく襲ってくる。 かつりかつりと晶が秋葉に近付く。 「先輩……私の約束は、聞いてくれましたか?」 と秋葉を見つめ、子供がせがむようにする。 「……」 その瞳に目が合わせられない。 「先輩……返事してくれなきゃ分かりませんよ」 目を逸らす先に体を移動させ、尚も覗き込む晶に 「……あぁ、やめて瀬尾……」 秋葉は首を振るようにして両の手で顔を隠した。 「どうしてですか? 教えてください先輩……」 最後は潤み声になるような晶の声に、その姿が見えぬ秋葉の体が震えた。 瀬尾が悲しんでいる。 「……」 秋葉が顔を覆いながら、ゆっくりと首を縦に振った。 「先輩……嬉しいです」 と、その意味を理解した晶が笑顔に戻る。 「……あぁ……」 自らの内部に蠢くオンナに負けた秋葉は、全身の力が抜けてしまった。 「先輩……約束の印を、見せてください」 と、瀬尾は背中をそろりとひと撫ですると体を離した。 「あぁ……」 それだけなのに、秋葉がわななく。 「先輩……」 晶はスカートの裾を掴み、軽く引っ張るようにしておねだりをした。 「……あぁ、見ないで……」 溜息も熱く、秋葉は言葉と裏腹にスカートを摘む。 するすると、ゆっくりではあるが秋葉の膝が露わになる。 「まだですよ、もっと上まで。そうです」 まるで劇場の幕が上がるように、緞帳に似たスカートが持ち上がる。 「先輩、光ってますよ?」 これからという時、唐突に晶の声がした。 「あ、しかもその周りはいっぱいべとついてます。先輩、あの後もまさか……?」 落涙も瀬戸際の様な声で秋葉が首を振った。 だというのに、瀬尾は…… 「スカートの中から先輩の臭いがいっぱいして、いやらしいです」 くんくんと臭いを嗅ぐようにして、晶がスカートの裾まで顔を寄せた。 「先輩、ずうっと濡らしていたんですか?」 嬲られる。 「夕方から夜、そうして今の今までずうっとこうして濡らしていたんですか?」 驚きであるかのように目を開きながら、晶の口からは言葉が生まれ続ける。 「お食事をしている時も、蒼香先輩達と話をしている時も、その間中……」 恥辱にまみれ、体をわななかせて首を何度も左右に振る秋葉の髪が跳ね、さわさわと音を立てる。 (綺麗です……先輩) 晶はその艶やかに光を跳ね返す絹の束の乱舞に陶酔し、見つめ上げる。 (そんな先輩がいけないんです、私をこんなにおかしくさせるから……) 「どうしてですか? だって、ほら……」 と、すっと晶の手が伸びるようにして秋葉のスカートの中に一瞬消えた。 「……ひいいぁっ!!」 ぞくりと、総毛立つような感触。 「こんなにべっとりと粘っているのに……」 と、押しつけた指の力をゆっくり解き、引くと ニチャァ…… 糸を引く程の秋葉の生乾きの音が響いた。 「あああぁ……」 わが身が奏でたその音色に、秋葉の精神が揺さぶられる。 そんな秋葉をよそに、晶は指に付いた粘った液体を、2本の指の腹でこねてから離す。 「ふふっ、また先輩の味だ」 そう言って喜ぶと、立ち上がってもう片方の指を秋葉の唇に触れさせた。 「先輩もどうぞ、お裾分けです」 秋葉は一瞬立ち上がるその臭いに口を噤みたくなったが、しかし許されぬそれに抗うことも出来ず、力を抜いてしまう。 「先輩ったらこんなに美味しそうに、淫乱ですね」 口の中で指をぐちゃぐちゃに掻き回されながら、晶の言葉に秋葉が素直に従ってしまう。 「んっ……んあっ……」 秋葉は口に広がるむせるような味に嘔吐感を覚える。 「や……やめて……瀬尾」 秋葉は指を突っ込まれたまま、弱々しく否定した。 「あら? ならやめちゃいますよ、先輩?」 なのに、晶はそれを真に受けてしまう。 「あ……いや……」 秋葉が、困惑した声で呟いた。 「どうしてですか? 先輩がやめてと言ったんですよ」 晶は自分の指を見つめながら、秋葉に笑いかける。 「いや……」 秋葉は頭を振る。 「……やめないで……」 震える声に、晶が秋葉を見つめ直す。 「先輩、泣かないでください」 晶は悪びれた様子もなく微笑む。 「先輩がいけないんですからね。私をこんなに狂わせて」 そう。 「ほら……」 と、晶がついと一歩歩み寄る。 「先輩のこんな顔も、愛おしいです。そして涙も……」 そうして、その可愛い舌を覗かせ。 ぴちゃ…… 晶はそのまま、秋葉の顎に溜まる涙の雫を舐め取っていた。 「ひゃ……」 そう言うと、晶の舌が動き出す。 「ああ……」 そのぬめりとした感触は、秋葉のこころに新たな気持ちよさとなって伝わる。 だというのにそれはキャンバスに油絵を塗るような遅さ。 「ああああああ……」 一定のリズムで、あまりにゆっくりとした動きはこころを融かし。 「ひゃ……」 漸く涙の源泉まで到達した舌先に、思わず秋葉が瞳を閉じた。 しかし。 「目を開けてください、先輩」 漸く聴覚に響く待ち望んだ刺激。 「……」 瀬尾が望んでいるから、私は……
「ひゃぁっ!」 |